102kmを走るための戦略
陸上経験なし、トレラン歴2年。そんな初心者の私が、未知の土地での未知の距離に挑む。
102km。この距離は、ただ走るだけでは完結しない。補給・装備・環境対応、全てが完走を左右する。仲間たちからもらったのは、「補給をしっかりすれば、きっと大丈夫」とのアドバイス。この言葉を胸に、念入りに戦略を立てた。
相棒は、AI。たまに嘘を言うが、心強い存在だった。
補給編:何を持つか=どう生き延びるか
Taraweraはエイドが充実している。102kmで8ヶ所、さらにドロップバッグは3ヶ所。これも「走りやすいレース」と言われる理由のひとつ。
私はまだエナジージェルだけでは走り切れず、固形物も食べたい。そして、長時間になるほど、疲れるほど、「食べられるかどうか」が重要になる。
まずはエイドでの提供物の内容を確認した。バナナやオレンジ、スイカなどのフルーツ、サンドイッチやピザなどの軽食、キャンディーやポテトチップスなどのスナック。温かいスープや紅茶、コーヒーやコーラなどの飲み物、そしてNaak社のエナジージェルやワッフルなどが出ると書いてあった。
フルーツやスナック、飲み物は問題なさそうだ。でも軽食は口に合うか分からないので、アルファ米や餅、味噌汁などを日本から持参することにした。
エナジージェルは食べ慣れたものを。検疫に引っかかるハチミツ入りは避ける。アミノ酸、塩タブレット、レッドブル。必要なものを洗い出し、「どこで何を食べるか」まで想定し、ドロップバッグに分散して詰めた。
ロングレースを “生き延びるための設計” 。
装備編:信じるものを選ぶ
気温は夏。標高は300〜700m。基本は軽量・通気性重視。ほとんど手持ちのもので対応できそうだった。
しかし問題は、暑さと寒さ、両方への備え。過去のレポートには「夜は寒い」とあった。必携品のウェア類は素材まで指定があり、ウールなどの文字が並ぶ。一体どんな暑さと寒さなのだろう。日本とは全く違う環境下、想像がつかず心配は尽きない。
それでは、どのタイミングで冷えるのか。自分は何時にどこにいるのか。そこから逆算して、暗くなる前のエイドへ送るドロップバッグに着替え一式を入れることにした。
そして、最大の悩みは、ポールを持つかどうか。
「走れるトレイル」なら不要かもしれない。でも102kmという未知の距離。迷った。そもそも私は、トレラン向きの軽量ポールを持っていなかった。登山用の少しかさばるものしかない。
でも思い返せば、これまでポールに何度も助けられてきた。疲れたとき、心が折れそうなとき。きっと今回もそうなるだろう。そう思い、思い切ってカーボンの軽量ポールを購入した。もし使わなかったとしてもいい。「持っている」という安心だけでも、助けになってくれるはずと信じて。
環境対策編:自然はコントロールできない
開催は2月。ニュージーランドは真夏。真冬の日本から、真夏へ。まず必要なのは、暑熱順化。出発の2週間前から、発汗を促すことを取り入れた。
サウナは苦手、厚着ランにトライするも苦しくてすぐにギブ。そこで思い出したのが、酵素風呂。
気持ちよかった記憶を頼りに行ってみると、これが想像以上の過酷さ!真冬の寒さに慣れた体にはとにかく熱いうえ、米ぬかに埋もれて身動きが取れない。我慢して耐えた結果、1回目は生命の危機を感じた。レース前に疲労を抜くどころか、どっと疲れた。懲りずに行った2回目は、横浜でも雪が積もった寒い日。少し慣れて、心地よいとまではいかずとも危機を感じることはなく、手ごたえを感じた。温泉にも通い、発汗の感覚を取り戻す。
その他、
・水事情
ニュージーランドは日本と同じく、世界に数少ない「水が飲める」国。しかも日本と同じ軟水で、美味しいらしい。お腹を下すタイプではないが、合わなかった場合に備えて、スーツケースの最後のすき間にはペットボトルを入るだけ入れた。
・時差
時差は4時間。レースの2日前に現地入りする予定、きっと慣れるだろうと、特には気にしなかった。
・気候
紫外線対策には日焼け止め。乾燥対策にはクリーム。虫よけなども持った。
準備の答えは、現地へ
想定しておくことだけが、事前にできることの全て。自然はコントロールできない。この準備が正解だったかどうかは、実際に走ってみてのお楽しみ。
果たして私はどうなったのか?!
次はいよいよ現地編へ。
続く!
【今回のポイント(これから行く人へ)】
・エイド内容は事前に必ず確認
・ドロップバッグは “戦略的に配置” する
・装備は「安心感」も基準にして良い
・ポールは初心者ほど有効(特に長距離)
・暑さ対策は “自分に合う方法” を見つける
・完璧な準備は無理、でも想定はできる
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エイドでの提供物詳細はインスタグラムで。
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