再びの挑戦の旅へ
今年6月は天気に恵まれず、山旅計画0勝4敗と惨敗。山のように大きな悲しみ。
7月はトレラン大会や友人との北八ヶ岳散策などはありつつも、縦走山旅からは遠ざかっていた私。もちろん山旅に行きたい熱は最高潮。
負け続けた甲斐があり(?)、今回は晴天予報。
大好きな南アルプス、だけど北部に歩いていない山域が残っている。
仙丈ヶ岳~塩見岳の仙塩尾根を歩きたい。仙丈に行くなら甲斐駒ヶ岳もセットだ。甲斐駒に行くなら黒戸尾根から登りたい。山友さんに計画を話したところ、蝙蝠尾根なる美尾根にもぜひ行くように、と。あれこれ拡張していったら今年も4泊5日の大縦走計画に。南アの深い山と森にどっぷり浸かる、激アツ激キツな山旅。
梅雨明けの時期に狙いを定め、行ってきました。7/28(日)-8/1(木)
総移動距離55キロ、累積標高差6,200m。4泊5日は昨年経験済みだけど、3、4泊目が同じ山小屋だった昨年とは違い、今年はとにかく前進していかなければ完遂出来ない。
今の私にとって1日コースタイム10~12時間、5日間、というのが限界に近いもの。限界、可能性への挑戦、その自己表現、作品としての登山、そしてこのブログ。そんな意味合いのある、一大挑戦登山だ。緊張とドキドキわくわくが胸に広がる。
◇ 旅の行程 ◇
1 小淵沢 ⇒(登山タクシー)⇒ 尾白川渓谷 ⇒ 七丈小屋
2 七丈小屋 ⇒ 甲斐駒ヶ岳 ⇒ 摩利支天 ⇒ 仙水峠 ⇒ 北沢峠 ⇒ 小仙丈ヶ岳 ⇒ 仙丈小屋
3 仙丈小屋 ⇒ 仙丈ヶ岳 ⇒ 大仙丈ヶ岳 ⇒ 三峰岳 ⇒ 熊ノ平小屋
4 熊ノ平小屋 ⇒ 北荒川岳 ⇒ 北俣岳分岐 ⇒ 蝙蝠岳往復 ⇒ 北俣岳分岐 ⇒ 塩見岳 ⇒ 塩見小屋
5 塩見小屋 ⇒ 三伏峠 ⇒ 鳥倉登山口 ⇒(登山バス)⇒ 伊那大島
日本三大急登
朝自宅を出発、特急あずさ1号で午前9時に小淵沢駅。そこからマウンテンタクシー(事前予約制の相乗りタクシー)に乗り、黒戸尾根のスタート地点、標高775m尾白川渓谷の駐車場へ。乗車時間は20分ほど、料金は1,800円。タクシーに乗るのは気が引けるが、公共交通機関扱いということで良しとする。
午前9時半、スタート。この日は標高2,370mの七丈小屋までのコースタイム6時間の道のりを行きます。
ここ黒戸尾根は「日本三大急登」と呼ばれる急な尾根の一つ。実は勾配はそうでもないそうですが、山頂までの標高差が大きく、急登と呼ぶにふさわしい尾根、だそう。黒戸尾根からの甲斐駒ヶ岳を日帰りピストンするという超スーパー健脚さんも多く訪れているようで、この日はなかなかの大人数とすれ違うことになりました。
名水百選・白州尾白川を渡り、登山道へ。スタート地点の標高が775mと低いので、とにかく暑い。尾根に乗るまでの樹林帯のトラバース道で既に汗だく。滴り落ちて仕方がないほど。
昨年の縦走で使ったザックは結局体に合わずとても消耗した。今年は新しいザックを。背負いやすいが、5日分の荷物の重さがグッと肩にのしかかる。
山守りたい
途中、1時間ほど登ったところで、北杜山守隊の方々が暑い中活動をされていた。ありがとうございます。この日の宿泊小屋、七丈小屋の主、花谷泰広さんが代表理事を務める「持続可能な登山道保全活動」事業だ。利用と保全のバランスが取れていないのが登山道の現状。地域内外へ課題を伝え、登山者の行動変容を促し、学ぶ機会を作っているそう。素晴らしい活動です。
私は現状山に対してゴミ拾いくらいしか貢献していませんが、とても興味はあります。遊ばせてもらうだけじゃなく、恩返ししていきたい。
信仰と修行の道
黒戸尾根はかつての山岳信仰が色濃く残る古道で、そこかしこに石碑や石仏が。当時も盛んに登られた尾根道だったのでしょう。
急登とはいえ斜度が緩む場所もあり、穏やかな森歩きの様相も。
花崗岩の岩場に差し掛かる。切れ落ちていてちょっと怖い。
鎖場や梯子、急登なだけあって、そういうアトラクションが随所に断続的に出てきて、とても変化に富んだ道。飽きなくて楽しいけれど、樹林帯で風が抜けず、暑くてキツくて大変だ。今でこそちゃんと鎖や梯子が掛けられているけれど、当時はきっと命がけでよじ登っていたのでしょう。まさに修行。
スタートから4時間、刀利天狗という場所に。お社に手を合わせ、小休憩をして、先へ。
この日天気が崩れる予報は無く、雲行きの怪しさも無いのだけれど、ここまでは遅れることなく歩けているけれど、ずっと連続するキツい道、この日のゴールの山小屋に辿り着くまでは気が急いてしまう。休憩もそこそこに歩き続ける。
初日にしてこの疲れ、本当に私はやり切れるのだろうか(これ昨年も同じことやっている)。やはりとにかく登り上げる入山日はキツいものです。
一旦鞍部に下り、ここが五合目、標高2,045m。そしてこの日の核心部はここから。とてつもない斜度を梯子や鎖で登り上げていく。
各巨岩も神様。
そして核心部を1時間ほど登ったら、念願の七丈小屋が見えた!標高2,370m。スタートから6時間、お疲れ様でした。
狭い尾根の上に横長の小屋。よくぞこんな場所に建ててくれました。小屋の前からはとっても美味しい天然水が。本場の湧きたて南アルプス天然水、働いてくれた細胞一つ一つに染みわたる。
この日は主の花谷さんは不在。残念でしたがまたいつか。いやでももう黒戸尾根はお腹いっぱいかも。でもまたお水飲みに行きたいかも。
昨年の大縦走山旅では病明けで体力が持つかどうか不安だったので禁酒しましたが、今回は初日から酒。昨年と違うのはランニングを始めたこと、でも全然ツラさ変わらないな?!
地元のクラフトビールに課金(1,000円、ちなみにスーパードライは700円)。甲斐駒ヶ岳がパッケージに。おいしゅうございました。
食事はカレーにそうめん、ハンバーグと、栄養カロリー満点。完食できた。おいしゅうございました。
こんな急な尾根を登り上げてくるだけあって、登山者さんは皆玄人さんたち。明日はバリルートを行くというおじさまなども。登山談義に花が咲きました。
夕食後は小屋の外で空を眺める。ぽつりぽつりと言葉を交わしながら。残念ながら雲が掛かって夕日は見られませんでしたが、一期一会の空の色に何度となくシャッターボタンを押す。
日本三大急登ということは分かっていましたが、昨年より体力が付いているはずと思っていたので、まさかこんなにツラいことになるなんて。(後に5日間中2番目にキツかったなと振り返る初日←これ昨年と一緒)
全身汗だくで終えた初日。果たして私は予定通り歩き切れるのか?!Day2に続く⇒南アルプス北部大縦走5日間【甲斐駒ヶ岳】急峻な岩稜の貴公子 Day2 2024.7.29
山小屋でも提供してくれた、アミノバイタル。私はちょっと鈍感で実際の効果が良く分からないのですが、きっとあるとないとじゃ違う。