憧れの絶景の地へ
下ノ廊下。行きたいと最初に計画を立てたのがかれこれ5年前。毎年計画するも、台風だったり雨だったり、北陸新幹線が水没しちゃって交通手段が無くなったり、コロナ禍で山小屋が開かなかったり、あれこれに阻まれた下ノ廊下への山旅。
今年も行けないかな…。代替案を考えておこうね。と、一緒に行く友人と言いながら、小屋の予約をしてから待つこと4ヶ月。
今年は…なんとなんと…めちゃくちゃ天気が良い予報ーーーーーキター\(゜ロ\)(/ロ゜)/
今まで散々ダメだったので、「え?本当に行っても良いの?」と逆にドキドキする始末。
秘境の峡谷
『下ノ廊下』は北アルプスの立山連峰と後立山連峰の間にある深い峡谷で、勾配が急で水量も豊富な黒部川の電力開発を目的に、調査や資材運搬のために日本電力がつくった歩道(別名旧日電歩道)。現在はトレッキングコースとして登山者に開放されています。
黒部ダムから欅平に抜ける1泊2日の山旅。
残雪が長く残るエリアのため、その雪渓の崩落具合から、開通するのが1年のうちの1ヶ月ほどと、非常に限られた期間しか通ることが出来ないルート。今年も開通が遅れ、10/20頃からようやく開通。年々紅葉も時期が遅くなっているとの情報を聞きつけ、途中の基地となる阿曽原温泉小屋の最終日10/30(日)を狙うことに。
そして旅は始まる
スタートは大都会。今年4回目の夜行バス。土曜日の仕事を終えてから。もう朝からドキドキしてます。スムーズに仕事を終え、家に帰り支度して、電車で新宿へ。眠らない街新宿を23:15に出発、おやすみなさい…💤
快適な(?)バスの旅を終え、5:35扇沢駅到着。立山黒部アルペンルートの長野県側の入口です。そこから黒部ダムまで電気バスで15分。始発は7:30。
朝ごはんを食べたり、化粧をしたり、身支度を整えたり、おしゃべりしたりしていたらあっという間に2時間経過!( ゚Д゚)
続々と始発のバスに乗るお客さんが集まり始める。この時のバスは4台(その時の乗車人数に合わせて増減してくれていると思われます。)
世紀の大工事と言われた黒部ダム、昭和30年代に約7年、171名もの殉職者を出し完成。超難関掘削工事が行われたその道をバスが走っていきます。何の苦も無く通らせてもらって本当にありがたいですね…。長野県と富山県の境や、破砕帯など、ずっとトンネルの中ですが、ダムファンにとっては見どころ満載スポット。刮目して行きましょう。
観光目的の人、室堂まで上がり立山や剱岳まで行く人。上の方はおそらくもう雪でしょう。
私たちは下ノ廊下方面へ進みます。最後のトイレを済ませ(阿曽原温泉小屋までトイレ無し😨)、いざ出発。
危険な魅力がいっぱい
私は登山届を扇沢で提出してきてしまいましたが、扇沢は長野県、ここは富山県なので、管轄が違いました!「次からはこちらで提出をお願いします」はい、生きて帰れて、また来たいと思える程楽しめて、そしてまた来ることがあったらそうします!!!
下ノ廊下は、断崖絶壁の道が断続的にあらわれる非常に危険なルート。『黒部に怪我なし(落ちたら怪我では済まない)』と言われるほど。生きて帰れるかどうかの瀬戸際!!!でもその代わり、本当に絶景の連続なのです。自分の足で行った先に待つ絶景。これは絶対に死んでも見たい(いや死んではいけない)!
阿曽原温泉小屋まではコースタイムで7時間45分。距離にして約15km。遠い…。長く危険なルートのため、立ち入るのは健脚者かつ上級者のみ。皆さん足が速いこと!私たちは特別足が遅いわけではないのですが、写真を撮ったり景色に見とれたり、立ち止まる回数が多い。あっという間に最後尾の方になってしまいました。
晴天の下ノ廊下へ
まずは黒部川までグッと下り、黒部ダムの放水部を見上げる。黒部ダムはいつも登山のために通過するだけなので、いつかゆっくり観光してみたいところ。観光放水は6/26〜10/15と期間限定、既に終了していました。
次々とあらわれる紅葉の景色。時期はピッタリか、あと2、3日遅くても良いのかも、というところでした。
歩き出しは寒く、着込んでいましたが、太陽が昇るとジリジリと日焼けするような暖かさに。ウェアの調整をしながら、行動食を口にしながら進みます。
このあたりは雪渓が残る箇所で、通過できずにこの道自体が開通しない年もあったとか。崩落の危険もあるので、高巻ルートもあります。小屋の方が私たち登山者のために毎年整備を行ってくれていて、本当にありがたい。
荒々しい自然の美しさ
深い峡谷と、崖を彩る紅葉、澄んだ水が緩急を付けながら圧し流れていく様子。まさに秘境の絶景。次々あらわれるフォトスポット、さっきと似たような景色なんだけど、もう撮らずにはいられない、目に焼き付けずにはいられない。
断崖絶壁ばかりが連続しているのかと思いきや、崖ではない普通の登山道の方が割合的には多かったかな。断崖絶壁は、見た目ほど恐ろしくはなく、足場はしっかりしていて、山側に設置してある番線(針金の手すり)を握りながら歩けば大丈夫。ハーネスを付けている人たちもいましたが。道幅は狭く、人一人がやっと通れるという場所も少なからずあるのですが、広めの場所で譲り合えばすれ違いも大丈夫。途中のハシゴや吊り橋の方が高度感があって恐怖!
別の方が書いたブログでは、登山道に滝が流れ込んでいるびしょ濡れポイントがあり、傘があると◎とのことだったのですが、今回は無かったです。お天気などの具合によるのでしょうか。
十字峡とは、今歩いてきた黒部川に、剱岳から流れ来る剱沢と爺ヶ岳および鹿島槍ヶ岳から流れる棒小屋沢の2河川が合流する地点で、とても珍しい場所。登山道から少し下に降りたところから見られます。ぜひ見るべきスポット。自然の造形美。増水してたらこわそうだな。
白竜峡、十字峡などの見どころスポットを越えると、この断崖絶壁が良く分かるスポットに!
大自然と生きる人間の力
半月峡、S字峡を越えると、送電線鉄塔、そして崖に何やら建造物が。黒部川第四発電所だそうです。実はこの道、地下には黒部ダムと欅平の18kmを結ぶ鉄道が通っていて、工事用に作られたもの。それが2024年度に一般開放されるそう!(ただ景色は見えないとのこと。)その名も『黒部宇奈月キャニオンルート』。楽しそうだけど、私は下ノ廊下を歩くことを推奨します(経験を積んでから慎重に)。
東谷吊橋を渡ると仙人谷ダムへ。岩盤温度が上昇する高熱地帯があり、この一帯は高熱隧道と呼ばれています。岩盤は160°C以上にも達し、岩盤からの滴で火傷を負うほどであったうえ、熱によるダイナマイトの自然発火で多くの作業員が殉職しています。その数300名以上だとか。とてつもない歴史ですね。
登山道がダムの施設内を通っている非常に珍しいスポット。ドアを開けて入ります。高熱隧道の名の通り、もわっとあついところがあった。
ダム施設を通り抜け、間もなく阿曽原温泉小屋なのですが、ここに来て鬼登り道登場👹。
ヒーヒーです。登り切ったら少し水平歩道があり、そして鬼下り道登場👹。ここで17時を過ぎ、ヘッドランプを装着。もうすぐなのに小屋がなかなか見えず、ちょっと不安になりながらも、転ばないように慎重に下る。
そうして遂にあらわれた小屋!直前まで見えなかったよ!!
こちらの小屋は山小屋の中でも上級者向け😋で、とても面白かったので、それだけでブログを書きます👍
【阿曽原温泉小屋編】へ続く!