西の好天を目指して
9月、登山再開。盛夏8月は気象条件がいつもあまり良くないので、今年は思い切ってお休み。今回は四国随一と言われる稜線へ。徳島と高知にまたがる三嶺から剣山の美尾根を1泊2日で歩きに行ってきました。9/8(日)-9(月)
本当は2泊3日で北アルプスを計画していたところ。秋雨前線の影響で、局所的に大雨が降るかもしれない、でも晴れるかもしれない、そんな天気予報。山小屋のキャンセル期限である2日前(金)の夜まで悩むも、安心して歩けないならばまた別の機会にしよう。きっとそこに私が行くのは今回ではないということだ。と思いキャンセル。その日はふて寝。3日間どうしようか考えるのも放棄。
(土)の朝目覚めた瞬間、頭にひらめく。そうだ西日本は良い天気だと言っていた。西日本に行こう!三嶺から剣山だ!と即決。一度計画していたので大体分かるが、バスなどは季節運行だったりするので、仕事の合間にアクセスなどを大急ぎで調べ直す。夜行バスの予約を取り、仕事を終え夜帰宅し正味40分ほどで超特急で支度。時間が無くシャワーを浴びずに出発しなければならないのに、もう汗だくになりながら。そしてバスタ新宿から夜行バスに飛び乗り、臨機応変突発衝動ドタバタ珍道中の、私の山旅が始まりました。
◇ 旅の行程 ◇
1 三嶺登山口(名頃バス停) ⇒ 三嶺 ⇒ カヤハゲ ⇒ 白髪避難小屋
2 白髪避難小屋 ⇒ 高ノ瀬 ⇒ 丸石 ⇒ 次郎笈 ⇒ 剣山 ⇒ 大剱神社 ⇒ 見ノ越 ⇒ 名頃
夏空と樹々
午前6時、徳島駅へ。徳島県は初上陸。四国自体も3回目とホヤホヤ初心者。ポストの上に阿波踊り像を見付け、本場に辿り着いた実感。
この日は三嶺(みうね/さんれい)1,894mに登頂し、剣山への稜線へと足を踏み入れる。途中の白髪避難小屋までを歩くコースタイム5時間の一日。
JRで阿波池田駅へ、そこからバスを2本乗り継ぎ、三嶺登山口のある名頃バス停へ。徳島県全体の地図を見ると分かるが、公共交通機関だけで行こうとするとすごく大回りで向かうことになる。それでも私の「なるべく車を使わない(出来るだけ自力感を上げる)」というこだわりにより、こちらを選択。徳島駅から約4時間半、アクセスが一番の難所。
午前11時、標高900mの三嶺登山口をスタート。まずは日陰の樹林帯から。9月になり少しは涼しくなっているかと思いきや、激暑。西はまだ盛夏のようだ。
空も完全に夏模様。
汗を拭いながら、樹林帯を登り上げていく。ゆるやかで快適な尾根道。前日小屋泊まりで縦走してきたというグループが何組も下りて来ていて、さすが人気の山。
ガサっと音がしてビックリ!ヘビがいました。山の中で一人でいると耳が敏感になる。
歩き始めて1時間ちょっとでダケモミの丘へ。ウラジロモミともいう本州中部地方・紀伊半島・四国に分布する日本固有の樹木だそう。モミより高所に生育し、若枝が無毛なのがウラジロモミの特徴。
2時間ほど歩くと展望のある場所まで来た。これから歩く稜線が目の前に。
晴れではあるが雲多め。ガスというかモヤモヤしている感じ。
笹原と岩場
笹原の山頂部が見えて来た。4月に行った屋久島の風景を思い出す。ミヤマクマザサと岩の織り成す自然の造形美よ。視界が抜けて気持ちが良い。
稜線に上がると無人の避難小屋、三嶺ヒュッテが。この縦走路の中で一番きれいな避難小屋で、ちゃんとトイレもある。この日宿泊するであろう登山者さんが小屋周辺を散歩していた。私もここに泊まりたかったけれど、次の日の行程を考えるともう少し進んでおきたいので、先へ。
途中すれ違う方に、「白髪避難小屋まで」と言うと、「二人組が先に行ったよ」お!心強い!「幽霊出るよ」えー!そんなバカなー!っていうか余計なこと言うなー!笑
登山口から3時間ほどで、三嶺山頂へ到着。
ここ三嶺は四国で最も人気があるという美しい山。高知県と徳島県の県境で、高知県では最高峰の1,894m。1984年生まれの私としてはちょっと親しみが湧く数字の並び。
登山口からなだらかな尾根道を辿り3時間でこの360度の大展望。笹原の優美な山容。人気に納得。
この先歩く縦走路が一望だ。今回は行かない天狗塚の稜線もとても良いらしい。昼食を口にしながらしばし休憩。
先客は、高知県民だという山男子。山頂でお昼寝していた。ここは日帰りのお散歩コースだそう。でも地元だからか、山中に泊まって縦走などはしたことが無いと。いろいろとお話しをさせてもらって楽しい時間でした。感謝感謝。
午後はさらに雲多め。雨が降りそうではないけれど、スカッとはしにくいですね。
三嶺から白髪山方面へ。三嶺直下はちょっと急な岩場に鎖場がある。そして高山植物がちらほらと。
樹林帯に入ったり、笹原に入ったり、細かなアップダウンを繰り返しながら、比較的穏やかな道をずっと行く。瞑想をしているかのように心が落ち着いてくるのを感じながら。
カヤハゲというピークから見た三嶺の姿。美しいですね。
小屋の夜
白髪山分岐で、この日宿泊する白髪避難小屋が見えてきた。ここで高知県民の山男子とお別れし、私は小屋方面へ、彼は白髪山方面へ。背中に背負ったシュラフや食料たちが重いけれど、足取りは軽い。ここまでは…。
16時、小屋に到着。扉を開けるとそこには…!
誰もいなかった。
先に聞いた二人組は、避難小屋泊ではなくテント泊。もう時間も時間だし、まさかこのまま一人…!?
たくさんの登山者がいたものの、皆この日(日)に下山してしまった様子。アルプスのような感覚で「人気の山と百名山の間の縦走路だし、誰かいるだろう」と思っていたのに、とんでもなかった。地方の山の平日はこれが当たり前なのか。唯一の救いは50m程離れた場所でテントを張る二人組がいることだけれど、まさかこんなことになるなんて。
恐怖!山小屋での一夜!は番外編として書こうと思います。⇒恐怖!真夜中山奥の避難小屋で…
果たして2日目の旅路はいかに?!Day2へ続く⇒徳島高知【剣山】笹の優雅な稜線から徳島県最高峰へ Day2 2024.9.9