青森へ
ずっと行きたいと思っていた青森の山。父の出身地でもある青森は、幼い頃から親しみのある地。登山を始めてからはなかなか来る機会がなく、いつかはと思っていました。
中央アルプスの縦走を計画していたところ、台風発生。軌道と雨雲レーダーを見ると、本州ほとんど全部雨、でも青森だけちょっと外れている!せっかくのお休み、これはもう行くしかない!と急きょ夜行バスとレンタカーを手配し、出発。八甲田山と岩木山に登る青森2Days計画で行ってきました。まずは八甲田山。7/15(火)
朝、青森駅に降り立ち、車を借りる。1時間ほど運転し、登山口の酸ヶ湯、標高890mに到着。酸ヶ湯も前を車で通過したことがあるのみで初訪問。下山後の入浴を楽しみに。

北八甲田連峰
八甲田山系は青森、秋田、岩手の三県にまたがる十和田八幡平国立公園の北端、日本有数の豪雪地帯。陸軍雪中行軍遭難事件が起きたことでも有名。近年は熊の出没頻発地帯としても有名。しかし、今も活動を続ける火山群のため麓には豊かな温泉。そして高山植物がたくさん見られる湿原もある。豊かで穏やかな自然のイメージ。
今回は八甲田山系の中でも最高峰の大岳がある北八甲田連峰の登山。ロープウェイなどもあり整備されています。日本百名山の一つで、花の百名山にも選ばれています。
雨ではないものの、台風の影響とみられる曇天。今にも降り出しそうな鉛色の空、でも何とか降らずに持って欲しい。レインウェアなどの備えはしっかり持っていく。支度を済ませ、10時過ぎスタート。
🍃行程🍃
酸ヶ湯~毛無岱~大岳~仙人岱~地獄湯の沢~酸ヶ湯 コースタイム約5時間
⇩ 途中で変更
酸ヶ湯~毛無岱~田茂萢岳~赤倉岳~井戸岳~大岳仙人岱~地獄湯の沢~酸ヶ湯 コースタイム約7時間


毛無岱
まずは樹林帯の中を進む。歩きやすい道で、勾配は緩め。夜行バスでしたが体調は良好、足も良く動く。熊鈴を大きめに鳴らしながらずんずん進み、30分ほどで湿原帯に出た。

毛無岱は、上下2段構造。標高1,000m~1,070mの湿原が下毛無岱、標高1,120~1,200mの湿原が上毛無岱と呼ばれている。その間は急な階段だ。


翌日登る岩木山が平野にそびえ立つ。

これから登る大岳や、そこに連なる山々が見えている。初夏なのでお花もたくさん。






こういう広々とした場所は、本当に清々しい。大自然の中で一人、静かに息をしていると、日常の全てが消え去り、私と自然の境目が無くなっていく。はぁ~頑張って来て良かった。「我が人生に一片の悔いなし。」といつも思えるのだから、山はすごい。
ここは紅葉の時期が一番人気だそうなので、またいつか。
夏休み前の平日、そして台風の影響ありというところで、登山者は少なめなようだがゼロではない。数名とすれ違い、何とか景色が見られて良かったねと今日の運を称え合う。
道が良く整備されていて歩きやすく、コースタイムほどに時間がかからないので、ここから直接大岳には行かず少し大回りの周回コースに足を進めることに。田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳と、3つのピークを踏んでから大岳へと登るプチ縦走コース。結局コースタイムで7時間10分と、当初の5時間からプラス2時間と長めに。条件は良好なので頑張って歩きます。

田茂萢岳
ロープウェイ方面の田茂萢湿原へと続く宮様コースは道が荒れていると地図に書いてあるが、それほどではない。一旦下り、また登り返す。道の脇から可憐なお花たちが励ましてくれる。
田茂萢岳は樹林に囲まれた地味なピークで、一回素通りしてしまった。その先が明らかに下りなので引き返すと、控えめな山頂札が。標高1,324m。

湿原を抱いた風景がとても良い感じ。この日ロープウェイは運休だったようで、この辺りは誰もおらず、ひとりじめ時間が静かに流れます。今ここに集中するしかなく、雑念は消え去り癒されていく。



赤倉岳
後ろ髪を引かれながら先へ。次のピーク、赤倉岳を目指します。順調に標高を上げ続け、陸奥湾が見えてきた。





赤倉岳、標高1,548m。湿原から見上げた時は穏やかな山に見えたが、東側が断崖になっている山容で、足元は赤い砂礫のまさに火山の荒々しさ。

大岳に向かって天空の縦走路を進みます。

井戸岳
眼下には毛無岱が見えてきた。

背の低い植物が一面にびっしり生えていて、それはガンコウラン、ミネズオウという木の一種だそう。烈風に耐えるとあるが、確かにここは下から吹き上げてくる風が強く、帽子が飛ばされそうだ。植物はたくましい。




井戸岳、標高1,550m。山頂標識とケルンのあるちょっとした広場。風が強いので止まらず先に進みます。

大岳へと続く縦走路が眼前に。稜線はどうしてどうしてこんなに魅力的に見えるのでしょうか。これからあそこを歩くのかと思うとワクワクが止まりません。

大岳
最後は最高峰の大岳へ。下りの傾斜がきつく、足元が滑りやすく歩きにくい。気持ちははやるが慎重に。大岳避難小屋が見えてきた。

大岳避難小屋、中を覗いてみようとドアに手を掛けたが、開かなかった。ただ重かっただけなのかもしれない。仕方が無いので通過。

振り返って井戸岳と赤倉岳。大回り周回コースにして本当に良かった、歩き山頂を踏み、いろいろな角度から山を見つめ、景色を眺め植物を愛で自然を感じることは、この地を何倍も深く味わう感覚に繋がるから。ただのピークハントは好みじゃないのだ。


大岳、標高1,585m。遂に到達しました。ずっと気にかかっていた八甲田登山、来られて良かった。(特にやってはいませんが)日本百名山、57座目。

ここであいにく雲が濃くなり、雨がパラつき始める。少し昼休憩を取ったが、レインウェアを着込み早々に退散。ここまで来ると気持ちはもう下山後の温泉にロックオン。
仙人岱
と思いきや、大岳の南側にある湿原、仙人岱にお花がたくさん。特に、毛無岱ではもう全て綿毛になっていたチングルマの花が群生していてお見事。まだまだお楽しみは満載だった。




花の百名山だけあって、お花を存分に楽しめる山でした。湧水ポイントもあり。

仙人岱を過ぎると硫黄のにおいがする地獄湯の沢へ。傾斜はきつくないものの、足元は崩れやすく注意が必要。活火山のため今でも有毒ガスが噴出している、足早に通り過ぎましょう。

ここを過ぎると再び樹林帯。気分はもう温泉に浸かっているかのような匂いの場所を通ったので、ここがすごく長く感じる…早く温泉…。自然に早足に。そんな樹林帯を30分ほどで抜け、酸ヶ湯にゴール。トータル5時間で歩き切りました。
酸ヶ湯
豪雪地帯で積雪何メートル、とよく報道されているあそこです。「ヒバ千人風呂」という大きな混浴風呂が有名。強酸性の硫黄泉、ザ・温泉です。
日帰り入浴は9時~17時(男女別小浴場)、1000円でレンタルタオル付。
夜行バスと運転と登山の疲れを洗い流す。東北の温泉はとても熱い、熱すぎる、入浴困難…という印象をもっていましたが、なんと適温。ただの偏見でした。とても良いお湯でございました。

ヒバ千人風呂はチャレンジせず。しかし、私が利用した小浴場とは違う源泉がなんと4種類もあるとのこと。湯浴み着のレンタルもあったので、次回はチャレンジしよう。

火山を登り、その恵みの温泉に浸かるという地球大満喫至福ツアー。最高。心身ともにほぐれてスッキリした後は移動です。城ヶ倉大橋を渡り、ナビに従い岩木山方面へ。

美味しいものに疎い私はそっち方面の情報の蓄積がなく、どこで何を食べるかの最適解を本当に持っていない。地方の飲食店は早めに閉まってしまうし、調べて決め打ちして行かないと辿り着けません。大いなる課題です。仕方ないのでコンビニ(ありがたい)で夕食と朝食を購入、岩木山の麓へ。今回は突発的に来てしまったので、宿は車。
さて、旅は早くも半分終了。翌日の岩木山は、どんな景色を見せてくれるのでしょうか。Day2に続く⇒青森【岩木山】県内最高峰の津軽富士 2025.7.16
