旅の2日目。1日目はこちら⇒石川【白山・別山】信仰の日本三霊山 Day1 2024.10.9
この日は白山の最高峰、御前峰2,702mに登頂し、大汝峰2,684mまで足を延ばし、お池巡りをした後、別当出合登山口へ。そこから林道を歩き市ノ瀬ビジターセンターへ。コースタイム7時間半の一日。10/10(木)
そして全集中の山期間の最終日。その末に思ったことはこちら⇒人生は山|幸せの頂点だけやってみた|山ガール日記
◇ 旅の行程 ◇
1 市ノ瀬ビジターセンター ⇒ チブリ尾根 ⇒ 別山 ⇒ 南竜山荘
2 南竜山荘 ⇒ 室堂 ⇒ 御前峰 ⇒ 大汝峰 ⇒ 室堂 ⇒ 砂防新道 ⇒ 別当出合 ⇒ 市ノ瀬ビジターセンター
霊峰のお日の出
午前3時すぎ起床。お天気はイマイチ、星は見えず空は雲に覆われている。山頂で日の出を見るとすると3時半には出たいが、日の出が見られないならもう少し明るくなってから歩きたい。どうしようか心が決まらずぐずぐず支度をしていたら、あっという間に4時を過ぎてしまった。
真っ暗な中、意を決して登山靴を履き、ストックを握りしめ、山小屋の重い引き戸を開ける。雲の隙間からわずかに星が瞬いている。よし、行くぞ!
御前峰までコースタイムは2時間20分。日の出は5時40分。今は4時10分。もう1時間半しかない。とにかく歩くんだ。
全集中の山期間の最終日。筋肉はだいぶ鍛えられ、私の赤血球も高山仕様になったのだろう、私の体は上り坂をものともせずぐんぐん高度を上げていく。ビックリするほど体が軽やかに前に上にと進む。今まで感じたことのない体感覚。
真っ暗だが登山道が本当に綺麗なので、足元の不安はほとんどない。コースアウトする危険も少ない。迷いなく進み続け、約1時間で室堂、標高2,450mへ。空と雲が美しいグラデーションを彩り始めている。暗すぎてピントが合っていないが、室堂から御前峰。誰かのヘッドランプが光る。

鳥居をくぐり、白山神社の奥宮への登拝道へと進む。白山神社は全国に3,000社余り、その白山信仰の核心部へと続く、最後の登り。

室堂には大きな施設があり、ここには前日多くの登山者さんが宿泊していた様子で、ここからは一気に人が増える。

行き交う登山者さんと挨拶を交わしながら、30分で御前峰2,702mへ登頂。日の出まであと10分。間に合った…!
山頂は日の出を待つ人々で賑わう。奥宮に参拝し、無事にお参りできたことに感謝を。3,000m近い高山への登山、来たくてもなかなか来られない人がきっと大勢いる中、行こう!と思ってすぐ翌日に来られてしまう環境と健やかな心身。山ガールの前世は相当徳を積んできてくれた人に違いない。私も頑張ります。


濃紺から青、オレンジ、黄色と、夜明け前の一番美しい色彩。日の出の方角の空は、ちょうど雲が切れている。驚きの徳の高さ。そして息を飲む瞬間は、静かな歓声とともに訪れる。

秋の澄んだ空気の中、暗闇を照らし昇る太陽。世界が明るく染まっていく。


日の光を浴びながら。世界はなんて美しいんだ。

二度とない一日が始まった。ずっと山頂にいたいのは山々だが、進まなければならぬ、山ガールの悲しい定め。

火山のお池
白山は活火山、荒涼とした景色が広がる。人間の力の及ばない、地球の姿。昔の人もこの姿に畏怖の念を抱き、信仰の対象としたのでしょう。

午前6時、大汝峰の方面に進んで行く。ここには火口湖が7つあり(油ヶ池、紺屋ヶ池、翠ヶ池、血の池、五色池、百姓池、千蛇ヶ池)、登山道を歩き見てまわれる。美しいエメラルドグリーンの池もあれば、鉄分の多い血の色の池なども。


火口湖の間を進み、大汝峰への登りに差し掛かる。晴れ間はいつの間にか無くなり、曇天に。日の出の瞬間だけ見せてくれたなんて。
大汝峰から、左から剣ヶ峰、御前峰、奥には別山の3ショット。

午前7時、大汝神社にご参拝。


下って振り返って大汝峰。

お池巡りの大回りコースを進む。こちらは誰もおらず、草原の中静かな時間を独り占め。目の前には前日歩いた別山。この日だったら景色が見れていたのだろうか。


お花はほとんど咲いていないが、ほんのわずかに残った白く和やかな姿に心が癒される。

午前8時前、室堂に戻ってきた。

室堂はなんと750名も宿泊可能!もう山ガール的にはここは都会です。ビジターセンターや食堂などもすごく立派。中では暖かいストーブが焚いてあって、もう都会です。

都会過ぎて何となく居心地が悪く、休むことなく出発。本当は時間がないからという理由なんだけれども。

草原の散歩道
ここからは別当出合登山口へ向けて下山。目の前に広がる平原、別世界に入り込んでしまったような景色の弥陀ヶ原。


緩やかに高度を下げていく。今までも登山道が綺麗だったが、この一番メジャーな白山登拝道の砂防新道の綺麗さはまたすごい。まるで公園の散歩道のよう。

午前9時前、途中の避難小屋に差し掛かる。この頃には雲が晴れ、暑い日差しが降り注ぐように。途中ですれ違ったご婦人が「こんなに晴れるなんて!日焼け止め塗らなくっちゃ!」とおっしゃる程。



良く整備された道を足早に進む。良いお天気の中、楽しそうに登ってくる人たちと挨拶を交わす。今年は紅葉が遅いので、色付きが全然ですね、などと話しながら。
高度が下がり、樹木の背が高くなってきた。

そして暑さは増し増し。前日のあの不安になる程の寒さはどこへやら。1日ずれてこの日スタートだったら良かったな、でももう二度と白山に来られなくても後悔しない程の景色には出会えた。大満足です。

登山口の橋が見えてきた。


午前10時、別当出合登山口、標高1,260mへ下山完了。

そしてここからは林道を走る。走るための身支度を整え、いざ!
緩やかに下っていくので、これまた足がどんどん進む。途中で歩くだろうと思っていたのに、あら不思議、最後まで40分ほど走り通してしまった。

午前11時、市ノ瀬ビジターセンターにゴール。お疲れさまでした。
公衆トイレで着替えを済ませ、ビジターセンターに顔を出す。詳しそうなスタッフの方と話しをして、私は今回初めて白山に来た、と伝えたところ、ぜひ次は花の時期に来て!絶対花の時期に!と一押しも二押しもされた。次はぜひ花の時期に来たいと思います。
さあ、そして旅はまだ終わりません。帰りも車の運転が待っています。ナビが示す帰り道は、福井、岐阜を抜け、愛知、静岡、神奈川と行くルート。レンタカーの返却時間は20時。休憩や給油を考慮したらギリギリ。お風呂に入ったり観光をしたりする時間はゼロだ。
高速道路に乗っては降り、山道をぐねぐねと進み、渋滞にはまり、SAでは給油スポットに入りそびれ逆走。こわいーごめんなさい。慣れないことはするもんじゃない。
行きも帰りも高速道路をフルに使い、共に7時間半。登山時間よりも長い運転時間。おそらく公共交通機関を使い、2泊3泊しながら観光しながら行くのが正解な場所。それが北陸と関東の関係性だと認識した。
19時半、無事にレンタカーを返却し、私の山旅は終了。全集中の山期間も終了。かすり傷と日焼け、絶好調な体と史上最高の思い出が残った。本当によくやり切りました。
私の人生という山旅はまだまだ続くよエンドレス。次はどんな山旅を演出しようかな。次の山旅でも最高を更新していくぞー!
