ハセツネ!
出走しました。10/12(日)-13(月)
【部門】71.5km、+4,500m
【結果】18時間04分18秒 で完走! 女子56位/153人、年代別23位/58人。
多くのトレイルランナーが魅了されるアツいレース、走ってみてその理由がよく分かりました。

このレースの特徴は「トレーニングの一環」がコンセプトということ。70kmという長い道中でエイドは1箇所のみ、供給は飲料1.5リットル以内で食料はなし。全ての行程において各個人の「山のマネジメント力」が求められる、他にはないレース。
なので、装備やコースの把握などの事前準備がとてもとても大事になる。
以下、私の記録を。
装備
・水 トータル1850ml:水500ml、塩梅水500ml、アクエリアス300ml*2、レッドブル250ml (スタートから42kmの月夜見エイドまでの分) ※推奨は2000ml以上
・食料、サプリ等 ちびおにぎり*5(3.5個食べた)、塩タブレット1袋、エナジージェル*8(7個飲んだ)、アミノバイタルゼリー*1、アミノ酸粉末*6、マグリポ*1
・ザック 容量12L サロモン ACTIVE SKIN 12W + ウェストベルト
その他 ヘッドランプ*2、シューズ、ポール、レインウェア、ウィンドシェル、手袋、モバイルバッテリー、エマージェンシーキット、サバイバルシート、ウェットティッシュなど
コース把握
試走2回。夜間試走(西原峠~武蔵五日市駅)、昼間試走(市道山~西原峠)。前半部分、入山峠~トッキリ場が伐木工事区間で通行止めとなることから、コース変更あり。レース直前の特定日のみ試走可で、その特定日には行けず、スタートの武蔵五日市駅~市道山までは、ぶっつけ本番。
第0関門
大人気のレース、一般ランナーは募集開始とともにまずはクリック合戦に勝利しなければ出走できない。私は見事出走権を獲得し、今年のターゲットレースとして練習を重ねました。
天気予報は晴れ。台風の予報もあったものの、雨は降らずに暑くなりそうな予報(最高気温25℃)でした。
当日、何人かの仲間に会うことができ、エールを送り合う。お祭りのような賑やかな雰囲気に圧倒されながらも、粛々と準備をし、スタート位置に着きました。走力順にS、A~Fブロックにグループ分けされていて、私はDブロックスタート。

目標は完走、あわよくばタイムは20時間くらい。私にとっては最長距離、最大累積標高差、初オーバーナイトのレースで予想が全く付かないので、タイムは適当。勝算は5割。コースが山々しいからきっと私なら行ける!という気持ちと、70kmという距離が未知すぎてどうなるか分からない気持ちが半々。
第一関門(武蔵五日市駅~浅間峠22.7km)
13時、華々しいゲートをくぐり、多くのランナーとともに走り出す。トレイルに入るとすぐに渋滞、ロードで少しばらけ、またトレイルで渋滞、を繰り返す。もうこれは想定済みだし、私ごときがここで力を使ってしまったら70kmなど持つはずがないので、ゆっくりを楽しみながら流れに身を任せ、急な登り下りは早歩き、それ以外は小走りを続ける。

浅間峠までがキツい、と聞いていたけれど、その通りで細かいアップダウンを繰り返し、少しずつ消耗していく。前日に降った雨の影響か、少し水分を含んだ岩の表面や木の根が滑りやすく、しりもち2回。渋滞にハマって時間をロスしているという事実がどこかに引っ掛かっているので、流れているところではできるだけスピードを緩めないように、と頑張ってしまった。

生藤山の手前で暗くなってきたので頭にヘッドランプを装着し、適宜補給をしながら進む。途中見えた夕焼けと富士山が、このレース中一番の絶景でした。

同じように走っている仲間、ボランティアや応援の仲間とすれ違い、元気をもらう。
浅間峠に近付くにつれ辺りは濃霧に包まれ、ヘッドランプの光が反射し前が見えづらくなる。スピードを緩めつつ、足元を確認しながら前へ。
第二関門(浅間峠22.7km~月夜見42.1km)
18時42分、何とか浅間峠に到着。トイレに立ち寄ったが、トイレ渋滞はなし。ここから先はポールが使えるので、ポールを取り出し進む。相変わらず霧が濃いので慎重に。とはいえ、霧じゃなかったとしてもあまり走れていない。ポールの力を得て少し楽になるも、ここまでの消耗がじわじわと出て、明らかにスピードが落ちてきて、たくさんのランナーに抜かれてしまった。試走の時はここから西原峠まで案外近かったよな、と思いながらも、なかなか近付かない。そう甘くはないのだ。
西原峠を過ぎて三頭山への登りに差し掛かったあたりで、もう完全に疲れ果ててしまった。消耗度150%。臀筋とハムストリングス、ふくらはぎが疲労を越えて痛い。もはやトボトボ歩くしかできず、登りはポールに全頼りしながら足を半歩くらい出すのがやっと。下りや平坦なところも走るなんてとんでもない。今までフルマラソンの最後が一番辛いと思っていたが、ここで更新。ハセツネ三頭山がこの世で一番辛い。もうおしまいだ。ここまでが全行程のちょうど半分くらい、残り半分もこの調子なら私は絶対にゴールできないだろう。前半頑張りすぎてしまったんだ。完走できるかもなんて半分も思ってごめんなさい。やっぱり私にはハセツネさまは時期尚早でした。
初のDNF(リタイヤ)が頭をよぎる。とはいえ、リタイヤできる場所までは自力で行かなければいけないから、月夜見エイドまではこの調子でも何とか頑張ろう。そうだ、これはレースではなくハイキングと思うことにしよう。ちょっと辛い夜通しハイキング。いや、ハイキングなら辛くない方が良いぞ。などと思いながら少しずつ進み、三頭山山頂へ。

すっかり夜になっても蒸し暑く、風もない。いつまで経っても半袖のままで十分。夜の寒さを想定していたので、これでは水が足りなくなってしまう。水分の摂取量を調整しながら進む。
ここからは、ベンチを見つけるたびにおしりが吸い尽いた。おにぎりをかじり、ジェルやアミノ酸を口に入れ、何とか体にエネルギーを入れながら、少し休んでは重い腰を上げて進む。道端にはランナーが横たわり、死屍累々の様相。私は普段しっかり寝ているからか、眠気はなし。
月夜見まで辿り着けそうだという確信が出てきた鞘口峠を過ぎたあたりで、もう水を節約する必要が無くなったこと、後半戦になったのでカフェイン解禁、と最後の水分カウントだったレッドブルを投入。私に翼をください。

缶のまま持って来たので一気飲み。甘くて美味しいマスカット味。普段飲まないエナジードリンク、レースでも初持参。気分転換になればいいかな、くらいの気持ちで持って来たこれが、な、なんとめちゃくちゃ効いた!!!効きに効いた!!!
第三関門(月夜見42.1km~長尾平58.0km)
徐々に体が軽くなり、足の疲れ痛みが噓のようになくなった。月夜見エイドに着くころにはすっかりパワーを取り戻し、それが嬉しくてバンザイしながら駆け込んだら、「フィニッシュみたいだね!」と言われた。
24時15分、月夜見エイド。希望が見えてきました、もちろんリタイヤはしません。ここまでで水は残り50ml、ギリギリのギリ。水を受け取り(水500ml、ポカリ500ml*2)、フラスクに移し替えたり、おにぎりを食べたり、トイレを済ませたりして、いざ出発。元気になった記念にパチリ。

なんならスタート時よりも快適に動く体。さっきまでハイキング云々と考えていたのは誰だったのか。半歩しか出なかったのは別人か。試走の時に辛いと思った惣岳山、御前山をサクッと登り、大ダワまでのアップダウンは長いなぁと思いつつもこなし、ラスボス大岳山へ。これも辛くなく登頂。
大岳山でポールをしまい、岩場の下りを転ばないように慎重に。その先の御岳山までの平坦な道はとても綺麗に整備されていて足に引っ掛かるものがなく、これは高速道路じゃ!と思いながら安心して飛ばす。ただし、この元気はゴールまで持つのか?という心配が頭をよぎり、力を使い果たさないように少し抑え気味に走っていく。手持ちのカフェイン入りジェルは2つ、それをゴールまでの間に等分に使う作戦で行くことにする。
フィニッシュ(長尾平58.0km~武蔵五日市駅)
4時54分、長尾平通過。御岳神社の参道を抜け、日の出山方面へ。山頂に着くころには世界が薄明るくなり、一晩越えて走り続けたことにしみじみ。私にもできた。景色を写真に収め、先へ。

あとはゴールまで下り基調の緩やかな金比羅尾根。試走のおかげさまさまで、ここからゴールまではだいたいのイメージと距離感があり、もうあとは足がなくなるまで出し尽くすのみ!と存分に飛ばす。一週間前に観に行った競馬場でのレースを思い出し、「私はサラブレッド!」と、競争馬のようにしなやかに美しく臀筋とハムストリングスを動かして大地を蹴り前進するイメージで、とにかく走った。少し膝が痛むが、気にせず行く。目の前に見えてきた太陽に感動しながら。
ロードに出てからも、もう足が折れるかと思う程の速さで駆け抜け、武蔵五日市駅のフィニッシュへ!
7時6分、18時間4分。目標の20時間を大幅に上回るタイムで終われました。バンザーイ!

リザルト
後半特に頑張ったのがタイムに表れていると思います。前半からこの走りができるならやりたいものです。頑張ります。


あとがき
無事に完走できて何よりでした。この厳しいレースに初挑戦で完走は私的に上出来です。ずっとやってきた登山の経験が生きたと思いたい。しかも目標タイムを大幅に上回る好タイム。もしかしたらこんなに辛いヤバいレースには二度と出ないかもしれないから、少しでも良いタイムで終わっておこう、と頑張りました。
始めて一年でハセツネはすごいね!?と仲間に言われた理由が分かる、このレース。すごく大変だったけれど、でもそれだけに攻略し甲斐があって、次はここを改善して挑戦しよう、と、ランナーたちがどんどん魅了されていくのがよく分かりました。
勝算5割で挑んだ今年のメインレース。始めて試走もしたし、たくさん情報収集をして事前準備をしただけに、楽しくて思い出深いレースになりました。そろそろ初心者マークは卒業か?!
道中、ボランティアスタッフの方や応援の方々の声援が何よりも力になりました。大会関係者の皆さん、練習に付き合ってくれたコーチや仲間たち、いつも支えてくれる家族や友人たち。素晴らしい感動の体験をありがとうございました。
次は11月の修行走。これは今のところ勝算0割。まさに無謀な挑戦というやつです。やるだけやるのみ!次へ続く!

我らがチーム三浦の裕一ボスは総合3位の超活躍!おめでとうございました!!!

