青森【岩木山】県内最高峰の津軽富士 2025.7.16

青森山旅

旅の2日目。1日目、八甲田山はこちら⇒青森【八甲田山・毛無岱・酸ヶ湯温泉】湿原と火山 2025.7.15

この日は岩木山登山。事前の天気予報は6時頃曇りから少雨、9時頃から晴れの予報が、徐々に悪化。当日の予報では晴れになる時間が遅くなってしまった。登山時間をずらせば晴れそうだが、この日の夜に夜行バスで帰らなければならないので、あまりのんびりもしていられない。7/16(水)

岩木山

津軽国定公園に属する岩木山、別名「津軽富士」。平野に広く裾野を広げた姿はまさに富士。青森県の最高峰で、周辺地域からはどこにいても見ることができる。「お岩木さま」と呼ばれるなど慕われていて、心のふるさとだそう。

8合目まで道路が通っていてそこからさらにリフトもあるので、多くの登山者はそのルートを使うそうだが、存分に山を味わいたい私はもちろんクラシックルートへ。麓の岩木山神社からの百沢ルートを辿る、修行の道です。

明け方から急に雨が降り出す。出発予定頃にはしっかりした雨に。とりあえず行かないという選択肢はないのでレインウェアを着込み、5時すぎに出発。一の鳥居、標高180mから登山開始。

🍃行程🍃

岩木山神社~焼止~錫杖清水~岩木山山頂 ピストン コースタイム約7時間30分

岩木山神社
百沢登山道

岩木山神社の奥宮への登拝道。山で霊魂が再生するんですって。そうしたら私は何度生まれ変わっているのだろう。山頂までは約6km、標高差1,400m。七曲り、坊主転ばし、鼻こぐりなどの名前が付いた難所があり、いかにも苦行を連想させる。

神社の境内を過ぎ、杉林の参道を歩いていく。20分ほどでスキー場の建物がある桜林公園へ。徐々に強くなった雨がここで激しく降り出す。ちょっと雨程度ではなく、ざんざん降り。せっかく雨から逃れて青森まで来たのに、やっぱり私だけ良い思いをすることは許されなかったようだ。

雨宿りしながら逡巡を巡らす。天気が回復する予報なので行くことは行くのだけれど、こんな大雨とは。15分ほど雨宿りした後、覚悟を決めて出発。まずは樹林帯なので雨でも大丈夫だろう。

熊出没!の看板にビビり熊鈴を鳴らしながら進む。前日の疲れは少しあるものの、道は緩やかな上りで歩きやすく、ペースを崩さず登って行ける。周りを見上げる余裕はなく、足元を見るので精一杯。カエルが跳び出してきて私の足に激突してくる。カエル嫌いじゃなくて良かった。

七曲り、カラスの休場、鼻こぐり、姥石などのポイントを通過し、焼止まりヒュッテに到達。ここまでは景色の変わらない樹林帯だったが、ここからは沢の中を登っていく。道は荒れ気味、だんだん急になってきた斜面には鎖がかかり、一気に険しい様相。坊主転ばしポイント。雨なので慎重にいかなければ、足でも滑らせれば大けがは免れない。

そんな中、斜面に可憐な花が。サクラソウの仲間、ミチノクコザクラ。ここ岩木山の固有種で、別名イワキコザクラ。群生し見事。雨なのでカメラもスマホもしっかりしまっていたが、あまりに可愛い姿なのでスマホを取り出し写真に収める。

ミチノクコザクラ

流れに足を突っ込むようなところは無かったが、どこを歩こうか悩む箇所は多数。そうこうしているうちに、錫杖清水という水場へ。目の前に大きな雪渓が広がる。まさかこの上を歩く…!?地図を取り出しにらめっこすると、やはり雪渓のあるこの谷を行く様子…。今年は雪が多かったので特に気を付けなければならなかったのに、この暑さで完全に失念していた、雪渓という存在。

そして何が怖いかというと、人の通った跡(踏み跡)が微妙に分からない。この時期は踏み抜きが怖いのだけれど、どこを通れば安全そうなのかが分からない。

チェンスパもアイゼンも持って来ていないので、キックステップで慎重に、何となくそれっぽい場所を踏み進める。沢登りからの雪渓、緊張感はMAX。一歩一歩進むその時間と距離がすごーく長く感じたけれど、おそらくその間、数分で30メートルほど。何とか無事に登り切るものの、下りのことを考えると既に憂鬱…。

気持ちを切り替え前へ。しばらく歩くと鳳鳴ヒュッテに到着。中に入り少し休憩。食べ物を口に入れ、最後の登りに取り掛かる。頂上に近付くにつれきつくなる傾斜。大きな岩がゴツゴツの斜面を黙々と登っていくと、9時過ぎ岩木山山頂に到着。少雨になったものの、分厚い雲が晴れない。

山頂到着
山頂奥宮

岩木山、標高1,625m。山頂には鐘の付いた三角のモニュメント、山頂避難小屋、小ぶりのお社。無事に登拝できて感謝。平野にそびえる独立峰なので、晴れていたらその眺めは360°の大展望なのでしょうが、全く見えない。一瞬雲が切れて一方向だけ見えた瞬間があったが、それだけ。30分ほど粘ってみるも晴れる気配はなく、風が強く吹き付けるのでだんだん体が冷えてきて…。誰も来ないのと、あの怖い道を下山するのかと思うと気持ちが落ち着かず、早々に撤退。

(特にやってはいませんが)日本百名山は、58座目。ありがとうございました。

一瞬の晴れ間
山頂付近の登山道

山頂を後にして少ししたところで、行きに沢登りのあたりでパスしたおじさまと遭遇。雪渓怖かったね、という話になる。おじさまは帰りは別の道を行くそうな。う、うらやましい…。私はその怖かったところを下ります…。

雨が止んだので、ようやくカメラの出番。目に留まるものを収めていく。

下っていくと、徐々に天気が回復。広がる平野がチラッと見える。あと1時間半から2時間くらい後だったら山頂で晴れたはず。

下り
生まれ変わり

そしてそして、恐怖の雪渓に到着。踏み抜かないか、滑り落ちないか、ドキドキの時間。体を低く両手を広げ、いつでも受け身を取れるポジション。いや、受け身の取り方とか私知らないけど…。

恐怖の雪渓

無事通過。はー怖かった!生きた心地がしなかったけれど、これが生まれ変わるということ?!

まだまだ油断はできず、この先はまた荒れた沢の中を通る。数人の方とすれ違うが、これから登るなら良いお天気でうらやましい。

こーんな斜面を鎖を頼りに歩いたり。

急斜面

沢を渡ったりしました。

お花たちに励まされながら。

ミチノクコザクラ

無事に沢ゾーンを通過し、樹林帯ゾーンに。行きには見上げる余裕が無かったけれど、何とも美しいブナ林だった。鮮やかな緑と木漏れ日に見とれながらゆっくり歩く。8合目から登ってしまったら見られない景色。これだからショートカットは選択できない私の山登り人生。

姥石
カラスの止場
樹林帯
入山心得
注意!熊が出没

下るほどに、そして晴れるほどに暑くなり、ヘロヘロになりながらスキー場に到着。悔しいほど晴れている。あれが岩木山。美しい山だな。

岩木山
岩木山神社

岩木山の守り神、岩木山神社に帰ってきました。

杉の参道
岩木山百沢登山道

暑くて疲れてしまい、奥宮に行ったしもう良いか、と本殿にはご参拝せず。どうかお許しくださいませ。

本殿
楼門

一の鳥居の間から、岩木山が望める。

一の鳥居

12時半、下山完了。無事に帰ってくることができました。景色が見れなかった山はだいたいリベンジ対象になる私ですが、あまりの怖さだったからか、それとも年を取ったからか。「ここはもう完!ちゃんと堪能済み!」となりました。でもこれを書いている今、あの恐怖の感覚はすっかり薄れ、やっぱり大展望見たかったなぁ、またいつか行こうかなぁ、という気になっています。忘れるってなんて素晴らしい機能なんだ…。

そんなこんなで生まれ変わりました、たぶん。

百沢温泉

一の鳥居の目の前に温泉旅館、日帰り入浴ののぼりが。これ幸いと入浴して帰ることに。

訪ねると、無人(外出中の札)。料金は受付に置いていくスタイル、入浴料350円。小銭が無かったので先に入り、帰りに人がいたら支払おうという作戦にしたものの帰りも無人のままだったので、自販機で飲み物を購入しお金を置いて帰りました。

源泉かけ流し。貸し切りだー。

ひょうたん浴槽

前日に引き続き、良いお湯。緑褐色のにごり湯がドバドバ湧きっぱなし。熱めだが冷水ホースが引き込んであり、その近くは適温。お世話になりました。

そして車に乗り込み、青森駅へ戻る。道中、リンゴの木と岩木山のショットを。

岩木山
青森

穏やかな平野、あちこちから湧き出す温泉、山と海の幸。その昔、縄文時代の人々がこの地に集落を築いたのは大納得。豊かな恵みの素晴らしい土地です。名前も素敵ですよね、青森って。

無事に青森駅まで帰り着き、レンタカーを返却した後はお土産を購入し、駅前をぶらりしているうちに夜行バスの時間に。一年に一回くらい来たい良い所だなーと思うも、そんな場所が全国にたくさんあり、また間があいてしまうのだろうな。しばしのお別れ。また来ます。

青森山旅2days、大満足で終了。夜行バスは行きも帰りも快適で格安(片道5,000円)、突発でこんな場所まで来ることができて、交通網やシステムの発達に感謝。こんなふうに遊べるのも、現代社会の豊かさの恩恵なのだ。

大自然を愛する現代人の私。私は私の信念にのっとり、自然を大切にした生き方をしていく。を再び胸に刻む。

次は7月最終週の登山、一年で一番大事な縦走山旅を入れると決めているところ。計画済みだが果たして。私の人生という山旅はまだまだ続きます。思い描いたその先へ!

今日もthanks🌟