北アルプス後立山連峰縦走5日間【針ノ木雪渓・蓮華岳】日本三大雪渓とコマクサの群生 Day1 2025.7.27

大縦走

今年も一年で一番大事な山旅を計画する時が来た。私は梅雨明けの7月最終週と決めている。

昨年は一度も訪れなかった北アルプス。一度歩いたが晴れずに景色が見れなかった「リベンジ対象」の爺ヶ岳から唐松岳間、そして白馬三山。歩いてみたい針ノ木雪渓、針ノ木岳から爺ヶ岳間、そして怖いけれど不帰嶮。これらを繋ぐ総移動距離約50km、累積標高差5,700mの山旅計画になった。

しかし、一つ重大な問題が。できれば北上する、というマイルールに則り今回も北上で計画したのだが、そうすると不帰嶮の難所が下りになり、南下する登りよりも難易度が上がってしまう。初訪問の難所、果たして大丈夫なのか。晴れたとしても私は本当に行くのだろうか。

そんな気持ちがあり、小屋は早々に予約したのだが、夜行バスを予約していなかった。意図的にというよりは、実感が湧かず抜けていた感じ。

そして1週間後に迫った時。お天気良い予感、これはバッチリ行けてしまう。行かなかったら死んでも死にきれなくなりそう。夜行バスをチェックすると、満席。何度も空席情報をチェックし、3日前に空席出た!急いで予約を取り、何とか無事に出発できることに。ようやく覚悟を決めた。

山を走ることを始めた私ですが、以前と同じく、ゆっくり歩いて景色を堪能する山旅5daysに行ってきました。7/27(日)-31(木)

◇ 旅の行程 ◇
0 新宿 ⇒(夜行バス)⇒ 信濃大町
1 信濃大町 ⇒(路線バス)⇒ 扇沢 ⇒ 大沢小屋 ⇒ 針ノ木雪渓 ⇒ 針ノ木小屋 = 蓮華岳
2 針ノ木小屋 ⇒ 針ノ木岳 ⇒ スバリ岳 ⇒ 赤沢岳 ⇒ 種池山荘 ⇒ 爺ヶ岳 ⇒ 冷池山荘
3 冷池小屋 ⇒ 鹿島槍ヶ岳 ⇒ 八峰キレット ⇒ 五竜岳 ⇒ 五竜山荘
4 五竜山荘 ⇒ 唐松岳 ⇒ 不帰嶮 ⇒ 天狗ノ頭 ⇒ 天狗山荘
5 天狗山荘 ⇒ 鑓ヶ岳 ⇒ 杓子岳 ⇒ 白馬岳 ⇒ 大雪渓 ⇒ 猿倉 ⇒(路線バス)⇒八方 
信濃大町駅前より
山を想えば人恋し

夜行バスで信濃大町へ。信濃大町から扇沢への朝一番の路線バス(6:15⇒6:55)に乗るのに、まぁ乗れるだろうとベンチに座って並ばずにいたらいつの間にか長蛇の列。それでもここでは乗れたのだが、その後大町温泉郷バス停から最後の一人座席が足りない…!という事態。子供は大人の膝の上に座らされ何とか出発。シーズン中は要注意です。

扇沢駅、標高1,433m。ここへは何度訪れたか分からないが、針ノ木岳方面へは初。まだまだ歩いていない道がたくさんある。

登山口に常駐してくれている警備隊の方に挨拶をし、午前7時、スタート。この日は針ノ木雪渓を登り、針ノ木峠にある針ノ木小屋へ。蓮華岳をピストンするという、標高差1,500m、コースタイム7時間の一日。

扇沢駅より

「山を想えば人恋し、人を想えば山恋し」

北アルプス開拓の先駆者、百瀬慎太郎という登山家の有名な言葉。大町の旅館に生まれ、登山ガイドの先駆けとなり、近代登山の発展に寄与した方。その百瀬慎太郎が作った山小屋が、これから向かう大沢小屋と針ノ木小屋。

山に行けることを楽しみに、仕事に励む。人間社会があり仕事ができることに感謝し、山活動に励む。それはまさに山ガールの人生。

大沢小屋より

始めは舗装路と山道を行ったり来たりしながら、沢沿いの山道をトラバース気味に進む。1時間ほどで大沢小屋へ。こちら大沢小屋は今年で創設100周年。8月中旬まではスタッフさんが常駐しているとのことで、挨拶をしていく。コーヒーなどの軽食の提供あり。宿泊もできるそうだ。玄関には4本爪のアイゼンがあり、レンタル可。私は外のベンチで少し休み、出発。

雪渓に向かって沢沿いを上り上げていくと、お花たちが出迎えてくれる。斜面は高山植物のお花畑。なんと楽しい道なのでしょう。

お花畑
針ノ木雪渓

30分ほど歩くと見えてきました、雪渓への入口。

あそこが入口

針ノ木雪渓は日本三大雪渓の一つの雄大な雪渓。白馬大雪渓に比べて少し傾斜がきついとのこと。ここに関しては針ノ木小屋の公式インスタグラム@harinokigoyaで情報を発信してくれているので、事前情報はチェック済み。イメトレしてきましたよ!

6本アイゼンが推奨されていましたが、行程がながーいので少しでも荷物を軽く…と、チェンスパに。慎重に参ります。ストックも使用。落石の危険があるので、ヘルメットをするとなお◎。日焼け対策も万全にね。

いざ!
チェンスパ&ストック

歩くラインは分かりやすい。赤いマーキングの上を歩き、マーキングがないところはインスタグラムでの解説を思い返しながら。雪渓の上は雪で冷やされた風が吹き抜け、涼しい。暑い夏の入山ルートに雪渓、とても良き。

進みます

傾斜のきついノドと呼ばれる部分では、しっかり爪を立てるようにして足裏全体で雪を捉えるように進む。チェンスパでも滑ることなく、順調に進んで行けました。

振り返る

雪渓スタートから40分ほどでゴール。初めての場所、難易度が高いと思っていた場所だったので少しドキドキしたものの、涼しかったし雪の上は歩きやすいので、思ったより体感はあっという間。

雪のない夏道に入り、再びのお花畑。雪渓から離れた途端に暑くなるが、標高が上がってきたので下界のような蒸し暑さはなく、お花たちに励まされながら高度を上げていく。

レンゲ沢を横切り、

レンゲ沢

最終水場の看板。水を汲みます。普通の沢の水なので、浄水ボトルで汲むのが良さそう。この先、後立山の稜線上の山小屋はどこも水不足なので、水マネジメントが必要。私は浄水ボトル1本(600ml)、ナルゲンボトル1本(500ml)、ペットポトル1本(700ml)の3本1,800mlでやりくりします。(あまり飲まない方なので少なめ)

貴重な水場

峠が見えてきて、九十九折の道をえっちらおっちら登ると、到着しました!針ノ木峠、そして針ノ木小屋。

まだ時間は午前11時、チェックインを済ませ、荷物を下ろす。チェックしていた針ノ木小屋名物の「ダルバート/2,000円」(※ネパールの国民食とされる定食料理、「ダル」が豆のスープ(カレー)、「バート」が米飯を意味する。)を食べたいなと思うも、お腹の感じからするとたくさん食べられない&山小屋の宿泊代が最近ほんとーに高くて(平均15,000円)お金を使うことをためらい、手持ちの行動食で紛らわす。せっかくだから食べれば良かったな。

小屋で30分ほど休憩を取った後は、蓮華岳へ。ガスが上がってきてしまい展望は望めなそうだが、夕立に見舞われる前に。

蓮華岳とコマクサ

少し登ると、ガスの切れ間から針ノ木岳方面が見えた。

針ノ木岳とスバリ岳

蓮華岳方面、なだらかに広がる稜線がとても良い感じで、楽園感満載。こういう場所が好き。

蓮華岳は日本三百名山の一つで、コマクサの群生地。山頂に近付くほどにコマクサがあっちにもこっちにも。私が今まで見た中で一番の群生地。

一面コマクサの斜面

あまり近付くと傷めてしまうそうなので、斜面にズカズカ入り込まないように。

小屋から約1時間で蓮華岳、標高2,799m。登頂しました。山頂の少し手前ですれ違った二人組の男性から、「船窪方面へ5分10分くらい下ったところの斜面に、白いコマクサが2株くらいあるよ」と情報をもらい、行ってみることに。

山頂の祠
登頂!

下り始めるも、予定になかった場所へ行くこと、手ぶらで水も持たずに来てしまったことで、早く見つけて引き返したい気分でいっぱいになる。

5分下った、10分して見つからなかったら絶対に引き返そう。10分経った、いよいよ引き返そうか…と思ったその時ついに!あの白い花はコマクサ!!!

白コマクサ

めずらしい白コマクサをひとしきり愛で撮影した後は、一目散に帰ります。白株を見つけようと必死で遠くまで見えていなかったけれど、この斜面は一段とコマクサが群生していて素晴らしかった。厳しい場所に可憐に咲くそれは、まさに高山植物の女王。

斜面いっぱいのコマクサ
針ノ木小屋

無事に小屋まで引き返すと、小屋の前の雪渓に雷鳥の親子が。この辺りに住み着いているらしい、3羽の家族。子供がまだ小さくてちょこちょこ歩き回る姿が微笑ましい。

雷鳥

そしてビールで乾杯。ジョッキの生ビールが嬉しい。体の熱さが残っているうちに、喉へと流し込む。冷たさと弾ける炭酸、苦味が渇いた心身を潤してくれる。山の上で飲むビールはなんでこんなに美味しいのでしょう。

かんぱーい

白コマクサの情報を教えてくれた男性二人と小屋で再会し、ちゃんと見てきたことを報告。もうちょっと詳細な情報を伝えれば良かった、もし行ったばっかりに雨にでも降られたらどうしよう、と心配してくれていました。山男はみんな優しいな。

山小屋の受付にいたお兄さんに白コマクサを見てきたことを報告すると、「いつもあそこにだけ咲くんだ」と教えてくれました。蓮華岳へ行く方は要チェックです!

ビールを飲み終わり部屋に引き返し、同室の女性たちとお話しをしていたら、ポツポツと雨音が。そして15時頃、土砂降りに。この辺りはしばらく雨が降っていなかったそうで、久々の恵みの雨。

針ノ木岳は二百名山、蓮華岳は三百名山なので、百名山のように誰でも押し寄せるわけではなく、もうちょっと踏み込んだ山好きが集まる。そんなディープめなハイカーさんたちとの会話は心地良く、落ち着いた山小屋の雰囲気と相まって、初めての場所とは思えないほどの馴染みを感じる。針ノ木小屋、落ち着く良い小屋です。

17時頃、すっかり雨は上がり、東の空には虹が。

翌日歩く稜線もバッチリ見えてきた。今北アルプスの稜線上にいるのだ、という実感がこの景色を見てようやく湧いてくる。

ビョウブ尾根

雨上がりの看板。

針ノ木小屋

夕食をダルバートにできないですか?と一応聞いてみましたが、ダメでした。おいしゅうございました。体力が付いてきたからか、昨年までのようにバテて食事が喉を通らずに吐き戻しそうになるということが無くなった。それでも食べるのは遅くて最後の一人になったけれど。ランニングのお陰で強くなりました。

ごちそうさまでした
裏銀座方面
綺麗な空

体力は十分、疲れはあまりなし。昨年の秋からトレランのために導入したガーミン(ウェアラブルデバイス)で心拍を見ながらペースをコントロールしているので、山歩きがとても楽になった。自然派山ガールだが、最新機器には感服。ありがたし。

この先しばらく晴れマーク。昨年も一昨年も5日間晴れでスタートしたのに1、2日は雨に変わったが、今回は無事に晴れてリベンジ登山となるのかどうか。Day2へ続く!⇒北アルプス後立山連峰縦走5日間【針ノ木岳・爺ヶ岳】立山連峰の大パノラマ絶景の稜線 Day2 2025.7.28

今日もthanks🌟