北アルプス後立山連峰縦走5日間【針ノ木岳・爺ヶ岳】立山連峰の大パノラマ絶景の稜線 Day2 2025.7.28

旅の2日目。1日目はこちら⇒北アルプス後立山連峰縦走5日間【針ノ木雪渓・蓮華岳】日本三大雪渓とコマクサの群生 Day1 2025.7.27

この日は針ノ木岳に登り、スバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳、岩小屋沢岳と続く縦走路を立山連峰の大パノラマを見ながら歩き、爺ヶ岳を越え冷池山荘までを歩く、標高差1,400m、コースタイム10時間の一日。7/28(日)

◇ 旅の行程 ◇
0 新宿 ⇒(夜行バス)⇒ 信濃大町
1 信濃大町 ⇒(路線バス)⇒ 扇沢 ⇒ 大沢小屋 ⇒ 針ノ木雪渓 ⇒ 針ノ木小屋 = 蓮華岳
2 針ノ木小屋 ⇒ 針ノ木岳 ⇒ スバリ岳 ⇒ 赤沢岳 ⇒ 種池山荘 ⇒ 爺ヶ岳 ⇒ 冷池山荘
3 冷池小屋 ⇒ 鹿島槍ヶ岳 ⇒ 八峰キレット ⇒ 五竜岳 ⇒ 五竜山荘
4 五竜山荘 ⇒ 唐松岳 ⇒ 不帰嶮 ⇒ 天狗ノ頭 ⇒ 天狗山荘
5 天狗山荘 ⇒ 鑓ヶ岳 ⇒ 杓子岳 ⇒ 白馬岳 ⇒ 大雪渓 ⇒ 猿倉 ⇒(路線バス)⇒八方 
針ノ木岳

午前4時、出発。うっすらと東の空が明るい。世界が一番美しい時間。私が思う山で泊まる醍醐味は、この日の出を拝めること。それに気づいてからはほぼ山小屋で朝食を取らなくなった。一日の行動時間を長くしているからというのもあるけれど。

明けていく

だんだんと彩を変えていく空に包まれながら、針ノ木岳へと続く稜線を歩く。

針ノ木岳

日の出は4時50分頃と思っていたのだけれど、4時40分、大地と空の隙間を太陽がこじ開けた。なんと山頂に着く前に日が昇ってしまった!あと10分早く出発するんだったな。

おはよう世界
蓮華岳

これから歩く稜線がくっきり。爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬三山までバッチリだ。なんと美しい。

サーキット稜線

遠くは槍ヶ岳のとんがり。あっちにも歩いて行きたいなぁ。

裏銀座方面

しばし見とれた後は、山頂へ。針ノ木岳、標高2,821m。日本二百名山の一つ。ここの眺望は本当に素晴らしい。

登頂!

登り切ると、剱岳、立山がドーン!

剱立山

360度の大展望。針ノ木岳。もうここだけでも大満足になれること間違いなし。絶景すぎて動きたくなくて、写真を撮ったり食事をしたりして、30分以上天国ボーナスタイムを過ごす。小屋で同室だった女性と写真を撮り合う。素敵な写真を撮ってもらったよ。

やったー
サーキット稜線

「針ノ木サーキット」なるトレーニングコースがある。扇沢を起点に、扇沢~柏原新道~種池山荘~針ノ木小屋~扇沢を一日で周回するというもの。これから歩く場所はその稜線。名前は無いが、サーキット稜線と呼ぼう。ここがまた素晴らしい。立山連峰を間近に見ながらずーっと歩けるのだ。

6年前に友人と爺ヶ岳~唐松岳間を縦走するもお天気に恵まれず、この「立山連峰を眺めながら歩く」ことが叶わなかった。そのリベンジの機会が早々に訪れた。しかもこのサーキット稜線、爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳からよりも立山連峰が近い!

もう動かなくても良いなぁと思いながらも、この日の行程はあと9時間も残っているので、仕方なく歩き出します。

北アルプスの稜線歩きは本当に天国。昨年一昨年と南アルプスの縦走をしましたが、あちらは一つ一つの山が大きすぎて、次の山に行くまでに必ず森林限界の下、樹林帯まで下ろされます。南アルプスのそういうところが大好きなんですけどね。しかし北アルプスはそんなことはなく、ほぼずっと森林限界の上。雲上の楽園なのです。

この旅一番の剱立山ショット。え、さっきの写真とほぼ変わらないって?そう、顔を上げるたびに感動して何度も同じような写真を撮ってしまう、山ガールあるある。

剱立山

針ノ木岳から下り、少し登り返すと、30分ほどでお隣のスバリ岳。標高2,752m。夢のような眺望が続く。

スバリ岳

針ノ木岳を振り返る。かっこいい!!!

針ノ木岳

たまに崩落が進んだ痩せ尾根も。足を滑らせないように慎重に。

痩せ尾根

振り返って針ノ木峠。左蓮華岳、右針ノ木岳。

眼下には黒部湖。澄んだブルーの恵みの水源。稜線上は水不足なのですけどね。

黒部湖

スバリ岳から1時間半で赤沢岳、標高2,678m。

赤沢岳

赤沢岳から40分で鳴沢岳、標高2,641m。

鳴沢岳

ずっとずっと美しい姿を見せてくれる立山連峰。「眺めながら歩く」と思っていたけれど、これは「見守られながら歩かせてもらっている」だった。母なる山の胸に抱かれながら行く、縦走山旅。

すれ違う登山者さんは少ない。こんなに良い稜線なのになぁ。私が百名山のピークハントを目標にしないのは、こんなに美しい景色に包まれる極上の体験を見逃すわけにはいかないから。こうして長い日程をとって山に来るのも、稜線の縦走をめいっぱいやりたいから。美尾根ハンターです、美尾根情報求む。

鳴沢岳から徐々に高度を下げながら40分ほど歩いたところで、新越山荘に到着。この前後はお花が咲き乱れる楽園でした。

お花に見とれて歩いていると、何やら近くをガサゴソと動き回る生き物が…雷鳥だー!人間にびっくりしましたか?私もびっくりしましたよ!

雷鳥

草むらに隠れて見えないけれど、子供も2羽いました。新越山荘でお手洗いを借り、しばし休憩。綺麗な山荘でした。

午前10時頃には後立山の稜線にはガスが湧き景色が見えなくなってしまったけれど、立山の方はまだ湧いていない。地形的にこちらの方が街に近いからかな。新越山荘から40分で岩小屋沢岳、標高2,361m

岩小屋沢岳

この辺りの岩場で、ザックに付けたお守りのアシタカ&ヤックル(もののけ姫)の缶バッジを擦ってしまい、テンションが下がる。翌日はもっとすごい岩場の難所を通過するのだからしまっておこう…。

そしてまたお花の楽園。少し高度が下がり展望が無くなる代わりに、お花たちにとっては生きやすくなるのでしょう。

ほんの少しの樹林帯が地味ーに感じるくらい、この稜線はとにかく圧巻の景色。最高でした!

爺ヶ岳

遠くに種池山荘の姿が見えてくると、登山者さんが多くなってきた。岩小屋沢岳から1時間ちょっとで種池山荘到着。扇沢から柏原新道を上がってきたであろう登山者さんたちでごった返す山荘前。

種池山荘前

ちょうど時刻は12時前のランチタイム。種池山荘名物ピザを多くの方が楽しんでいました。私は先を急ぐのと、グルテンフリー生活をしているため、お隣にいた女性二人組の頼んだものを写真だけ撮らせていただきました。

美味しそう

ここ種池山荘周辺と柏原新道では熊の目撃が多発しているそうで、私が通りかかったこの日も見かけたとの情報が。最近本当に多いので、今まで一度も出会ったことがない奇跡に感謝するしかない。斜面一面のチングルマを眺めながら、先へ進みます。

チングルマ

振り返って種池山荘。オレンジ色のとんがり屋根が可愛い。

種池山荘

ガスに覆われほぼ見えなくなってしまったけれど時折見える爺ヶ岳。

爺ヶ岳

種池山荘から40分で爺ヶ岳南峰、標高2,660m。

爺ヶ岳南峰

中峰、北峰に向かいます。

中峰へ

前を歩くおじさま三人組とお話をする。この日のゴールは私と同じ冷池山荘、でも山小屋の予約が取れずにテント泊になったと。もしかしてすごく混んでいる…。

中峰はガスで展望なし。標高2,669m。

ウスユキソウ

下っていくと、また広めの天国尾根出現。私こういうところ本当に好きだな。ガスが残念だが夏なので仕方なし、雨に降られないだけ幸せだ。

冷乗越

ここで兵庫から来たというグループと一緒に。昨年、六甲全山縦走大会に行きましたよ!と報告し、しばし談笑。山小屋で会いましょう、と言って別れたが、やはり山小屋の混雑が激しくて、また会うどころではなかった。

冷池山荘

14時前、爺ヶ岳南峰から1時間ちょっとでこの日のゴール冷池山荘へ。休憩含めた行動時間はコースタイムと同じ10時間で完。

冷池山荘

満員御礼大混雑。既に前日の針ノ木小屋の落ち着きが懐かしい。百名山の鹿島槍ヶ岳を登りに来る初級者から、八峰キレットに挑む上級者まで、多くの登山者の交差点だ。同室になった新潟からのグループのお姉さまたちがとっても面白く、皆で爆笑しながら一期一会のひと時を楽しむ。

この辺りは水源がなく、雨水でまかなっている。宿泊すると煮沸消毒した飲料水1ℓを無料でもらえるが、それ以上は有料。宿泊台帳をウェブページからダウンロードし印刷して記入・持参するとさらに0.5ℓサービスしてくれるので、持参推奨。

ビールとぜんざいで祝杯。

かんぱーい

缶ビールの値段はそれぞれ山小屋の系列により違いますが、ここは確か650円と安かった。高いところは900円とか。高くても祝杯は必須なので必要経費。しょうがない。

小屋で休憩していると、15時半頃からガスが晴れてきた。連日こんな空模様でした。翌日向かう鹿島槍ヶ岳、通ってきた爺ヶ岳を眺める。良い山ですねぇ。

鹿島槍ヶ岳
爺ヶ岳

そして夕食タイム。話題は種池山荘の熊。遭遇したという方から写真を見せていただきました。近い。もう熊鈴ごときには反応せずらしい。

ごちそうさまでした

翌日は八峰キレット。6年前に一度踏破したことがあるが、もう体感としては全く覚えていない。一度無事に行っているとはいえ、また今回も大丈夫とは限らない。消灯頃までまた同室の女性たちと楽しくお話しをしながらも、心と体には緊張がまとわりつく。お天気は大丈夫そう、疲れもあまりなし、コンディションは上々なのだが。果たして私は無事に通過できるのか。どんな体験が待っているのか。Day3へ続く!⇒北アルプス後立山連峰縦走5日間【鹿島槍ヶ岳・八峰キレット・五竜岳】日本三大キレットと菱紋の巨山 Day3 2025.7.29

今日もthanks🌟