北アルプス縦走3日間【薬師岳~五色ヶ原】雲上の楽園 Day2 2023.9.25

旅の2日目。1日目はこちら⇒北アルプス縦走3日間【折立~薬師岳】解脱の極楽浄土 Day1 2023.9.24

この日は朝日の出の瞬間を薬師岳山頂で拝み、そのまま五色ヶ原まで縦走する、コースタイム10時間の長い一日。9/25(月)

◇ 旅の行程 ◇
0 東京 ⇒(夜行バス)⇒ 折立
1 折立 ⇒ 太郎平 ⇒ 薬師岳山荘 ⇒ 薬師岳 ⇒ 薬師岳山荘
2 薬師岳山荘 ⇒ 薬師岳 ⇒ 越中沢岳 ⇒ 五色ヶ原山荘
3 五色ヶ原山荘 ⇒ 一の越 ⇒ 黒部ダム(室堂) 
浄土の御光

起床は3時半、出発4時半。ほとんどの方が山頂からの日の出を見に行くのか、皆さん出発早め。前日も歩いた山道を真っ暗な中歩き出す。夜明け前のグラデーション。何度見ても最高。

日の出30分前

前日に比べ雲が多めですが、一日晴れの予報。1時間弱で山頂へ。人がたくさん集まって東の空を見つめる。日の出の瞬間。

おはよう

仏の御光が世界を明るく照らし出します。

わーい

山小屋で一緒になったご夫婦とお話しをしながら食事と身支度を済ませ、いざ縦走に出発!(ありがとうございました。)

北上し、五色ヶ原を目指します。まずは北薬師岳へ、薬師岳までは賑やかだったのに一転、一歩踏み出すとそこは静かな道。

北薬師岳へ
振り返って薬師岳と金作谷カール

40分ほどで北薬師岳山頂2,900mへ。前日出発した折立方面、有峰ダム湖も綺麗に見えます。

北薬師岳
有峰湖
健と強

誰もいないので次に進みます。鋭い岩や大きい岩、細尾根など、転んだら、踏み外したら怪我は免れない。関節が一つ増えるか、尻が3つになるか。前日までの歩きやすさは無く、自然のままの道が続いていく。今すぐ死ぬほどの危険は無いけれど、山とは、それが非常に近くにある世界。

転倒注意

すれ違うのはほんのわずか、健脚揃い。ほとんどずっと縦走路独り占め、静かな山歩きが続きます。

山オブ山

厳しい場所に咲く花の力強さよ。

よくぞこの場所で

緩やかに下りながら、展望の良い間山2,585mを越えた後はぐっと下り、樹林帯突入。わずかに紅葉している葉っぱを愛でながら。

先にそびえる山大きいな…

樹林帯の中に小屋が見えた。こんな狭いスペースによく作ったな、というすごい場所にある。スゴ乗越小屋2,270m、今日で営業終了とのことで、小屋閉め作業を行っていました。トイレと給水をギリギリ利用させてもらって助かった~。薬師岳山荘から五色ヶ原山荘までの長い縦走路の間の貴重なポイントです。小屋番さんもスタッフさんもお優しく。この山小屋は上級者向けっぽいのでいつか泊りに来たいな。

スゴ乗越小屋

午前9時、小屋の前でしばしモグモグタイム。この狭い場所にヘリが来るんだそう!すごいわー。

ヘリ来れるの?!

そしてここからが今日の難関。さらに下ってスゴ乗越という鞍部を越えると、スゴノ頭、そして越中沢岳という大きな山が待ち構えています。写真に収まりきらない。

左越中沢岳、右スゴノ頭
スゴ乗越

振り返ってスゴ乗越小屋と歩いてきた稜線。

山オブ山

急登を登っていく。ロープがあったり、大きな岩々があったり。私を上へ前へと進めてくれる体と意思は重力を克服する。これを自由と言わず何と言うのでしょうか。疲れと喜びと共に先へ。

スゴノ頭、ピークは踏まない

スゴノ頭から、これから挑む越中沢岳を望む。南アの聖岳を前にした時の感情に似ている。(やばいな、まるで悪魔の要塞。頭の中ではサザンオールスターズのマチルダBABYが流れる。)と心の中では思うのだけど、大きく美しい山で間違いないのだ。

越中沢岳

鞍部までまたぐっと下り、ぐんぐん登る。写真を撮るのも忘れて。ザレ場、岩場、きつめのトラバース道の急登が続いていく。暑さも出てきて苦しくなるけれど、ここで歩みを止めるわけにはいかない。ここで歩くのを辞めたら、命を諦めることになるから。山に入るということは、そういうことだ。止めるという選択肢は、無い。あるのは、頑張る一択。

実りの季節
山頂が見えてきた

午前12時、登頂。越中沢岳2,591m。誰もいない山頂で360度の大展望を独り占め。歩いてきた薬師岳、裏銀座、後立山連峰、剱立山。これから行く五色ヶ原も見える。

やったー
後立山連峰とわたし
この世のあの世

どっぷりこの世界と時間に溶け込んでいく、この時間が永遠に続いてほしいと願いながら。でも永遠じゃないからこそ一瞬が奇跡で大切だと思えるのですよね。

30分ほど過ごした後、後続の登山者さんが来たところで出発。ここからは緩やかにアップダウンをしながら五色ヶ原へ。

広く穏やかな稜線。地球の原始の姿に囲まれ続けて溶け込み続けて、私の体も自我もどこかへ行ってしまって、生死の境が曖昧になって、「あれ私死んだかな?ここはあの世かな?」って冗談じゃなく思う。

山では常に隣り合わせの危険や、死の存在を感じるからこそ、生の今ここの奇跡を、輝きを思い知る。

私が死ぬ時は三途の川を渡るじゃなくて、こんな穏やかな山の稜線を歩きたいな。

これがあの世じゃなかったらどの世?
実りの季節

見えているのになかなか近づかないものってなーんだ?正解は五色ヶ原です!本日最後のピーク、鳶山。

鳶山

山頂付近で!いました!ライチョウの親子。かーわーいー!お腹の方の毛が白くなってきていますね。もうすぐ山には冬が来る。

親子連れ
景色に溶け込む

しばしのライチョウタイムを過ごした後は、五色ヶ原へ。

五色ヶ原

鳶山を下ること30分、本日のゴール。14時半到着、お疲れさまでした。

乾杯

窓から見える景色が最高。相部屋仕様なのですが、宿泊者が少ないため一人一部屋。

絵画の窓

小屋から10分のテント場方面までお散歩に。そしたらいました!ライチョウ親子!

テン場
ライチョウ

そして帰り道はイワヒバリさんが先導してくれるのでした。

しばらく私の前を歩いていたイワヒバリさん

ここ五色ヶ原は植物も生物も非常に多様性のある場所。翌朝は野ウサギも私の前に飛び出してきました。高山植物の7月頃が一番の見頃のようなので、また良い時期にぜひ訪れたい場所。

秋色の絨毯
ただいま
雲上の楽園
夕食

ここ五色ヶ原山荘も水不足、神社のお手水状態(樽から柄杓で水をすくう)でしたが手を洗うのには困りませんでした。

残念ながらここからお天気下り坂。3日間晴れのつもりで出かけてきたのだけど、3日目は午後から雨予報に。私はお昼に黒部ダムに着く計画なので、何とか逃げ切れるか?それとも?!Day3に続く⇒北アルプス縦走3日間【五色ヶ原~室堂】霧と靄が彩る峰々 Day3 2023.9.26

ピカー🌟

私が履いている登山靴はこちら。かためで高山の岩稜帯、縦走用。しっかりしてます。