奥信濃100/50km|長野県北部・木島平村|トレラン大会|2025.6.7

奥信濃の旅トレイル

出走しました。6/7(土)

【部門】50km、+2,500m
【結果】9時間21分04秒 で完走! 女子61位/141人、年代別23位/55人。

とても素晴らしいレースで、最高に感動しました。

このレースはチームの仲間が「良かったよ!」と言っていたのを聞いたのと、長野の山友に連絡を取ったところ彼も出走するというので、エントリーを決める。

2021年に初開催されたというこのレース、100年先までおもしろい、という思いを込めた「奥信濃100」。カテゴリーは100km、50km、25km。大会コンセプトからしてすごく良いことが伝わってきます。

山と里、3つのラウンドを楽しむコース
・独立峰、高社山をまわるラウンド
・これぞ奥信濃という深い森のカヤの平ラウンド
・田園景色を楽しみながら走る里山ラウンド

「奥信濃100」はこの3つのラウンドをまわります。そこには村と村をつなぐ歴史ある古道、雪の重みに耐え育ったブナの森、雪解け水が流れる沢沿いのトレイル、そして懐かしさとやすらぎにあふれた山里の風景があります。奥信濃の自然や魅力がぎっしり詰まった100kmの旅です、ぞんぶんにお楽しみください。

「奥信濃100」コースディレクター木村大志

CONCEPT | 奥信濃100 より抜粋

既に暑そうな時期だけれど、きっと高原の緑と沢で気持ちが良いはず。

マラソンはいきなりフルからエントリーした私ですが、山は歩いて登り下るだけでも普通にキツイのをずっと体感していたのでトレランは絶対にヤバイと慎重モード。昨年夏から16km、30km、43.2kmと徐々に積み重ね、レース4回目にして50kmに挑戦。制限時間が10時間30分と短めな気がする、完走できるかどうなのか。例のごとく挑戦するからには成し遂げたいので、ドキドキしながら当日。

スタートが11:30と遅めなので前泊はせず、朝一の新幹線で長野へ。飯山駅から大会仕立てのバスに揺られること20分、9:20スタート地点の木島平/ロマンスの神様スキー場に到着。必携品のチェックと受付を済ませ、着替えや食事をしつつウロウロしていたところ、チームコーチの矢嶋信さんに遭遇。早くに始まっていた25km部門(6位!)を既に走り終わった後だった。全力疾走後とは思えない爽やかさ。

一般人とスーパーモデルみたいな…

ここのところ土曜日ずっと雨が続いていたので晴れて一安心だったが、この日の最高気温予想は29℃。朝から暑くて熱中症注意。体調の方は生理一日目という不運に見舞われるも、調子は良好。できる限りの練習もしてきた。もうやるしかない。

スタート
里山

11:30スタート。50km、+2,500m、10時間の旅が始まりました。いきなりスキー場の急斜面を登る。そして下る。最初からポールを使い、登りのダメージを最小限に。ほどなくして山道に突入。始まったばかりなので飛ばすことなくじわじわ行きます。先は長いからね。

まずは里山エリアで、田んぼや住宅ののどかな景色が広がる。道路の脇には山からの水がジャブジャブ流れていて、頭から水を被る人、手ぬぐいを浸して首にかける人。涼しい恵みのある場所だ。

1時間ほどで7km最初のエイド、糠千へ。まだ疲れはなく水も消費していない。麦茶、バナナをもらい、先へ。

糠千エイド

こんな林道が多いコースで、程よく木々が日差しを遮ってくれていた。それにしても良い天気。

林道
本沢川

沢沿いの気持ちの良いコース。涼しい風が吹いてきて、暑さが和む。所々で渋滞発生も、後半のために足を残しておかなくちゃいけない私のような関門ギリギリへなちょこランナーには適度な休憩タイム。

渋滞

沢の水が道に流れてきていて、ドロドロ箇所も多数。足を突っ込み靴の中まで濡れるも、そこは優秀なトレランシューズ、すぐに乾いてほとんど気にならない。

ドボンポイントと書いてあるところが何ヶ所か。冷たい沢の水が気持ちよさそうでしたが、また次回以降に。沢沿いをどんどん進み、沢から離れて山を登る登る。全身汗だくで喉は乾き、登りっぱなしでお腹は空く。水とエナジージェルを適宜投入し乗り切る。コースの最高地点、15km標高1,700mへ登頂し、そこからは下り基調の走りやすいコースがスタート。ここでポールをしまい、ランモードへ突入。

林道

4時間半で23kmのカヤの平エイド。コーラ、おいなりさん、バナナをもらい、クエン酸ドリンクをマイボトルに注ぐ。トイレを済ませ、ここから10kmの周回コースへ出発。応援の方がたくさんいて、私にも声援をくれる。とてもありがたい。

カヤの平エイド
カヤの平

標高1,400mに広がる美しい高原、カヤの平。まるでゴールか天国かのような雰囲気なのに、まだ半分も終わっていないという軽い絶望パンチ。しかしここに広がるブナの森がとっても美しかった。緩やかに登り、緩やかに下るので、気持ち良く走れる。まるで俊足ランナーになったかのような気分を味わわせてくれる。周回の後半に標高差200mくらいの壁のような傾斜の登りがあり脚の筋肉たちがはち切れそうになったが、コース高低図を見るとここを登り切ればほぼ下り。すかさずマグネシウムサプリを摂り、とにかく頑張る。そして2時間ほどで再びカヤの平エイドへ。

ここでもコーラ、おいなりさん、バナナをもらう。塩タブレットをもらって口に入れたらナニコレ美味しい!私の細胞たちが喜びました。そうこうしていると「関門まであと23分だから、ゆっくりしすぎないでね!」とアナウンスが。休憩もそこそこに再び走り出す。

カヤの平から先は、ほぼ林道の下り。ひたすら走る。もう十分に疲れていて所々体は痛いし歩きたいのだけれど、ここを歩いてしまったら、一度でも足を止めてしまったら、何度も何度も歩き休むことになるだろう。そうするとたぶん私は制限時間内にゴールできない。必死に足を動かし続ける。

林道

エイドを出てすぐの33km、前にちょうど良いペースのランナーがいて、後ろにくっついて走っていく。ヒロシさんと勝手に命名する。足の運びが上手な方のようで、泥がほとんど跳ねていない。私の後ろにも数名のランナーがいる気配で、集団で走っていく。つまりチームヒロシ。泥沼箇所が多数あるも走りを緩めず突っ込んでいくので靴はドロドロ、さすがのヒロシもドロドロになっていく。

7kmほど走った40km、辺りが薄暗くなってきて、ヒロシがヘッドランプを点灯する。私はザックのポケットにしまったままだったので集団を離れ頭にセット。集団は5人だった。20mほど離れてしまうも、すぐに走り出しチームヒロシの背中を追いかける。いつの間にかチームはばらけ、43km、走りながら補給を始めたヒロシは少しペースダウン、そこでヒロシをかわす私。ありがとうヒロシ(知らない方ね)、10kmの間お世話になりました。

その後渡渉ポイント2ヶ所を挟みつつ、45kmから2kmの間はチームシュンスケに混ざる。ありがとうシュンスケ(こちらも勝手に命名、知らない方ね)。※名前に意味はございません。

渡渉ポイント
夜パート

既に辺りは真っ暗、ヘッドランプの灯りを頼りに足元に注意しながら走っていく。所々でトレイルに設置された赤いランプが、鈴を持ったボランティアスタッフさんたちが、ルートを示してくれる。目が見える喜び、息が吸える喜び、手と足があって動かせる喜び、痛みを感じられる喜び、喜びを感じられる心がある喜び。もう余力も何もないところまで自分を最大限に動かして触れる、この心と体がある現世の幸せ。当たり前だけど当たり前じゃない、命の喜びとともに前へ。

初めての夜にかかるレース、小さい頃に感じた夏祭りの夜のあの感覚。いつもと違う世界に入り込んだような、特別なドキドキわくわく感。

糠千エイドで豚汁を飲む

ここでは特製豚汁が。塩分が染みるー。心まで温まりました。

47km糠千エイドからは残り5km。ここからゴールまでも一生懸命走った。とにかく走った。誰とも競っているわけではない、やりきったと自分に胸を張って言えるように、ただそのためだけに。

スキー場の下に出て、ゲレンデ中腹のゴールが見えた。急斜面すぎて全然走れないけれど、一歩一歩早足で進んで行く。コース沿いにはライトが灯され、ここまで辿り着いた選手たちを祝福してくれている。

登り切りゴール!もうガッツポーズしかできない!

やったー!

優勝したぜやったー!みたいな顔をかましていますが、全然してません。でも自分との約束通り、自分を超えました。私史上ナンバーワン距離、50kmを無事成し遂げた。ばんざーい!

ナンバーワン!
結果
結果

自分のできるギリギリの挑戦を重ね、少しずつ限界が引き上がっていく喜び。もう肉体的な成長を望める歳ではないし、優勝したいとか有名になりたいなんてこれっぽっちも思っていませんが、いつだって私史上ナンバーワンの私は目指しています。結果が伴えばもちろん嬉しいけれど、そこに向かうプロセスだけでも大事な経験で、そう解釈していれば失敗なんてものはなくて常に学びか成長か感動が手に入るというお得(徳)な世界。タイムや順位ではなく、これからも私だけの山頂を目指して。

この山のような最大級の喜びは、やはり山ならでは。自然の力と、応援の力の賜物。トレイル整備をはじめ様々な大変な準備を重ねて大会を主催運営してくれている方々。朝から晩まで、暑い中暗い中ずっと選手たちをサポートしてくれているボランティアスタッフの皆さん。チームコーチや仲間たち、家族やクライアントや私に関わる全ての皆さん。素晴らしい体験をありがとうございました。

This is the life!

おまけ

当日は木島平のホテルに泊まり、翌日はジブリ展へ。長野県立美術館にて。

「生きるとは」を突き付けられる大好きなジブリ、疲れた体でも観に行って良かった。千と千尋の神隠しが多かったので、好きな方にはオススメ。

そして無事に帰路につき、私の旅は終わりました。次は10月のハセツネ(長谷川恒男)カップ 日本山岳耐久レース。71.5km、制限24時間。有名人気のレース、エントリー開始時刻のクリック合戦に打ち勝ち、第0関門は突破しました!

さあ、この先はどんな旅が待っているのでしょうか!次へ続く!