北アルプス縦走3日間【折立~薬師岳】解脱の極楽浄土 Day1 2023.9.24

秋麗の山脈へ

南アルプス大縦走から一ヶ月。今年はまだ行っていなかった北アルプスエリアへ!(室堂には行っていたけどハイキングで終わっていてノーカウント)

5年前絶景の稜線歩きをした裏銀座縦走路を眺めながら立山連峰を歩く、薬師岳から五色ヶ原、黒部ダムまでの2泊3日の旅へ。

テレビで観た五色ヶ原の景色がとても素晴らしく、ぜひ行ってみたいと思っていたのです。9/24(日)-26(火)

3ヶ月前に計画し山小屋や夜行バスを予約、その頃山小屋はまだ営業開始前。「予約承りました、でもまだ先の予約だから、9月に入ったら確認の電話をしてね。」と言われ電話、「予約入ってないよ?」「えー!空いてますか?」「ガラガラです。」そんなやり取りがありました。

超天気が良く直前に予約がたくさん入ったのでしょう、そんなにガラガラじゃなかったけどね。

◇ 旅の行程 ◇
0 東京 ⇒(夜行バス)⇒ 折立
1 折立 ⇒ 太郎平 ⇒ 薬師岳山荘 ⇒ 薬師岳 ⇒ 薬師岳山荘
2 薬師岳山荘 ⇒ 薬師岳 ⇒ 越中沢岳 ⇒ 五色ヶ原山荘
3 五色ヶ原山荘 ⇒ 一の越 ⇒ 黒部ダム(室堂) 

前日の仕事を早めに終え、シャワー&パッキング、いざ夜行バスでGo。もう夜行バスが常態化している。だって一番効率が良いから。(なかなかのお値段なのですが、早朝に登山口に着けるのは本当にありがたい。)そして公共交通機関で行くと、登山口と下山口を変える縦走登山がしやすくなるので、もっぱら頼っております。

お世話になります

途中の立山アルペン村という場所で折立組はマイクロバスに乗り換え、到着午前6時40分。富山県の折立登山口、1,350m。初めて降り立つ場所です。連休(といっても土日)の最終日だからか、駐車場はほぼ満車。最近熊が出没したそうで、登山口のキャンプ場は閉鎖になっていました。

この日は標高2,700mの薬師岳山荘までのコースタイム約7時間の道のり。食事と身支度を済ませ、午前7時いざ出発!

スタート
涼と爽

まずは樹林帯。とても歩きやすい道と気温。秋は良いですねぇ。と、ここで重大な忘れ物が発覚。アームカバーが無い…!まだこの時期この標高、止まっていると涼しくても歩いていると汗だくに。Tシャツとアームカバーになりたかったのだけど残念。今回はUVパーカーを着続けることになりました。

歩きやすい山道

なんと歩き易過ぎて、コースタイム2時間の樹林帯をわずか1時間で通過、三角点のベンチに到着。これから行く太郎平、薬師岳が見えます。

憩いの場

翌日向かう稜線、大日連山や立山、剱岳もくっきり。最高の秋晴れの空。

美しい山脈

まだ全然疲れていないのでここは通過し、次のポイントを目指します。

ヤマハハコ
ゴゼンタチバナ

樹林帯を抜け見通しが良い緩やかな斜面、道が非常に綺麗に整備されている。先月行った南アとは全く違う登山道の様子に啞然。日帰りでも来る方の多い場所で登山者の数も多く、力と財が大投入されているのでしょう。さすがの北アの実力にひれ伏すばかり。

ここは公園かしら?
本気の天国
薬師岳をバックに

あっという間に太郎平2,330mに到着。コースタイム5時間のところ3時間で着いてしまいました。程よい涼しさと極上の歩き易い道のお陰で。私の足が速くなったわけではないはず。先月の南アもこの時期だったらあんな死闘にならなかった疑惑。

太郎平小屋

今年北アの山小屋各所はとても水不足。雪が少なく早く溶けてしまったのと、雨が少ないため。ここ太郎平小屋は沢から水を引いてくれているので、水は豊富にある。貴重な給水ポイントです。

募金してね

よくSNSで見かける標柱と。すごく憧れの景色~!と思っていたけど、こんなにも易しく来れてしまう場所だったのね。初心者も安心の登山道。雲の平を取り囲む山々が後ろにそびえています。

来ました
太郎山と秋の空
薬師岳方面へ

ひとしきり写真や動画を撮りゆっくり休憩した後は、薬師岳方面へ。一旦薬師峠へ下り、そこからはしっかりした上り。ゴロゴロの岩場が続く沢道を進んでいきます。日が高くなり暑さが出てくる。息が上がらないくらいのペースで確実に。

平坦な道を前に向かって歩いているよりも、重力に逆らい上に体を進めるのはとてもパワーがいる。自然の法則に逆らう、能動的で主体的な行為。なぜ、なんのために山に登るのか?登りたいから、以外の答えはございませんがね。

ゴロゴロー
槍が見えた
シラタマノキ

紅葉には少し早く、錦秋の景色はもう少し後だけど、あと一週間もすれば雪が降る可能性も。山の短い秋が過ぎていきます。

美しいカール

上りの途中で休憩。今日のゴールがもう見えてきているので、先を急がず登山を堪能します。まだまだ日中は暑くて汗が出る。

年季の入った登山靴。今年で5年目、だいぶボロボロになってきたので今年で卒業かなー。最初の旅はまだ足が馴染まなくて両かかとがずる剥けになった裏銀座縦走。たくさん山に連れて来てくれてありがとう。たくさんの絶景を見せてくれてありがとう。今年もまだまだよろしく。

旅の相棒、ザンバランの登山靴
山寄りなだんご🍡

青空、緑と白の山の景色の中に、赤い屋根の山小屋が。絵本の中みたい。

薬師岳山荘

午前12時半、薬師岳山荘に到着。予定よりだいぶ早く着きました。その先の薬師岳まで行ってこようかどうしようか。翌日も薬師岳を越えて行くので、登頂は翌日でも良いのだけど、小屋番さん曰く「こんなに天気が良い日はめったにないから行けるならぜひ。」とのこと。荷物を小屋に置き、山頂を目指します。

欲望と解脱

小屋の後ろに見えていた白いピークへ。これはニセピークで、薬師岳の本当のピークはもっと左奥。

こちらではなく
あちらのピーク

東側の展望が広がる稜線に出た。言葉を失う大絶景!

裏銀座ドーン!

以前歩いた山を別の山から眺める。これまた楽し。

山頂へ向かう途中で一緒になったテントのお兄さんと行動を共にする。何でも彼の祖父は高野山の修行僧だったとか。私が悟りだとか解脱だとかしゃべり出すのをうんうんと優しく聞いて下さいました。この景色を見ていたらそんな気持ちも湧いてくるよね?!その節はありがとうございました。笑

「でも行きたいところがたくさんあって欲まみれ、解脱出来ない!」結論。俗世は楽しいもん。笑

悟りも解脱も、瞬間的にはタッチしていると思うんだ。私も、世の中の人皆も。でも普通はその状態を永遠には保ち続けられない。悟るとは、生きるとは、を自分で定義して、その中でいろんな感情を味わい尽くして、瞬間を生きる。それがその境地なのでしょうか。

そして山頂に到着。薬師岳、2,926m。日本百名山の一つ、私は47座目。立山連峰の主峰で、その名の通り古くからの山岳信仰の山。薬師如来様とは、現世の願いを叶えてくれる仏様。まさに今この場所この瞬間が、私の願いの全ての極楽浄土。ありがとうございます。

360度の大展望。もう何も要らない。

薬師如来様のいらっしゃる祠と
翌日歩く稜線と立山剱
うおー!

絶景の山頂、穏やかな秋の空の下。止まっているのか進んでいるのか、一瞬なのか永遠なのか、この世なのかあの世なのかもはや分からないような時間の中に、ただ存在して、ほぇーとなっている私。これはまさしく自我消滅でしょう。

このまま何時間でも過ごせそうだったのですが、お腹が空いてきて、体が今はこの世だぞとお知らせしてくる。そうだ、体を身に纏っている物質界にいるのだった。山小屋へ戻りエネルギーチャージ。フルーツポンチ900円とビール700円で合計1,600円の高級ブレイクタイムを。

おいしゅうございました

そして夜行バスで十分な睡眠が取れていない体は眠りを要求し、1時間ほど仮眠した後は夕食。バテていないのでちゃんと食べられます。そして日没。盛夏のようにガスが辺り一面を覆うこともなく、夕方を迎えました。最高。小屋の前で水平線に沈む夕日が拝めます。うっすらブロッケンも見えたよ!

完食!
ほのかにブロッケン
皆でその瞬間を待つ

ここ薬師岳は比較的易しく挑戦しやすいので、登山者が多い。1泊アルプス入門の山にとってもオススメです。

さようなら、また明日

薬師岳山荘は雨水利用の山小屋なので、超水不足です。手を洗う水すら足りない状況でした。

その後はすることが無いので19時頃就寝。最高の幕開けとなった初日。果たして今回はどんな奇跡の山旅になるのでしょうか。Day1終わり体力は十分!Day2に続く⇒北アルプス縦走3日間【薬師岳~五色ヶ原】雲上の楽園 Day2 2023.9.25

頑張るぞ🌟

南アの山旅の最後にカメラを派手に壊してしまったので、今回はストラップを採用。まだカメラのベストポジションは探り中です。