日本一過酷な山岳レース
【トランスジャパンアルプスレース】通称TJAR
スタートは富山県、日本海。北アルプス、中央アルプス、南アルプスと、3つのアルプスを越え、静岡県の太平洋まで、約415kmを8日間で駆け抜ける、超タフな山岳レース。存在は知っていましたが、この年末に初めてドキュメンタリー番組の放送を観ました。
2002年に始まり、今回が11回目。過酷な応募条件に始まり、厳しい選手選考会を経て、本大会出場を勝ち取る選手が30名。その内、ゴールに辿り着くのは20名足らず。日本一過酷と言われていて、集まるのはもう本当にヤバい人たち🤭。
私も歩いたことがある稜線が出てきたり、泊まったことがある山小屋が出てきたり、それだけでも面白かったのですが、選手たちそれぞれのレースに対する想いや背景、天気や体調に四苦八苦しながらも、言葉も出ないような絶景に出会い、協力して難所を越えて行く姿。そのレース展開がとても素晴らしかった。ドラマ以上の超ドラマティックな現実!
参加した選手、そのご家族、お仲間、参加出来なかった選手、大会関係者、全ての人を讃えたいと思います👏。
思考とことば
私が注目したのは選手たちの【思考とことば】。レースでハイパフォーマンスを出すためには、トレーニングで鍛え上げられた体と、健全な心【思考】が必須。それは【ことば】として表現されます。カメラマンがレース中に選手にいろいろ聞いたり、レース前に取材があったり。その中で、勝敗を分けたのはこれだったかも、という特徴的だった【思考とことば】たちを紹介します。尊敬と愛を込めて。
●まず、ぶっちぎりトップで大会記録を大幅に更新し優勝した選手。
「自分がどこまでやれるかやってみたい。」
「ゴール(目的)は一人一人違う。順位は付加価値でしかない。」
あくまでも自分基準、主体行動。勝ち負けなど介在していません。あくまでも自分がやりたいからやる、その一点突破。迷いなんて不安なんて1ミリもない(喘息などの不安要素が無いわけではないのだけど、彼自身そこには全く注目していない)。そしてレース自体を存分に楽しんでいました。そりゃぶっちぎるよね。とても健全です。どんどん連覇や大会記録更新を続けて行って下さい🌄!
●過去に4連覇の記録をもつ、絶対王者と呼ばれた選手。
「自分が走る意味って何なんでしょうね。」
レース中に自問自答。そして絶妙に見え隠れする、ライバル選手と自分との比較。迷いが生じると、思考が行ったり来たりして、脳の酸素消費量が超アップ。脳は体重の2%ほどしかないのに、全身消費量の約20%の酸素を持って行くエネルギー大食い野郎です。レース中は筋肉に酸素まわしてあげたい。
「負けた、って思われるんだろうな。」
連覇してきたことで、周りからの期待や、いろんな葛藤があったのでしょう。体が本調子でないのも(そこに注目しているのも)、レースへの気持ちが定まらない証。
しかし、途中で吹っ切れた様子でしたね、自分のレースをしよう、やりきるだけだ、と。さすが王者。実際にレースに出てみたからこそ感じたこと気付いたことがあったのでしょう。この方はそれを得るためにこの過程、現実を作っています。(個人的にはとても応援したい選手です。やっぱりみんな、王者復活優勝の姿とか超ドラマを期待しちゃうもんね…。可能性は無限大∞!)
●過去陸上をやり打ち込むも、何も結果を残せなかった、という選手。
他の選手や順位をしきりに気にしていました。
“優勝して、他の人より上位に立って、自分の存在価値を証明したい、確認したい” というの、あるあるだと思うのですが、世界一にならない限り上には上がいるものだし、なれたとしても一時のもの。手段が目的化してしまっていますよね。運よく1位になれたとして、その後に待っているのは ◎バーンアウト ◎1位から転落する自分に苦しむ という危険性。
実力は申し分ないと思いますので ◎自分だけの目的 ◎優勝しようがしまいが自分は唯一無二のカッコイイ存在であるという価値 などの自己評価を育んでいければ、もっともっと突き抜けられるはず。隠している可能性を開花しちゃって下さい。
健全な心と体
選手が113~190時間も走っているうちの、番組はたったの4時間弱。なので、テレビ的に良いところを切り取っているのは承知しております。見えないところではきっともっと違う心の動きもあったことを。正解不正解を指摘しようなんていう思いではありませんので、どうぞご了承下さい。
今BSプレミアムの朝7:45~、分割した15min版がやっているので、観たい方はぜひご覧下さいね!
トレイルランニング、とても楽しそうだなと思うけど、私は絶対生まれ変わらないと出来ない…。
次は2024年。選手たちが健全な心と体で精一杯の力を発揮し、輝く姿を見せてくれることを願っております👏