南アルプス南部大縦走5日間【聖岳】聖なる壮麗な緑の山々 Day3 2023.8.22

旅の3日目。前日はこちら⇒南アルプス南部大縦走5日間【赤石岳】日本7位の高峰と繚乱のお花畑 Day2-2 2023.8.21

この日は聖岳3,013mを越え、宿泊地の茶臼小屋までを歩くコースタイム11時間の長ーい一日。(小屋番さん曰く12時間半の行程)

◇ 旅の行程 ◇
0 東京 ⇒(夜行バス)⇒ 畑薙
1 畑薙 ⇒(登山バス)⇒ 椹島 ⇒ 千枚小屋
2 千枚小屋 ⇒ 千枚岳 ⇒ 悪沢岳 ⇒ 赤石岳 ⇒ 百間洞山の家
3 百間洞山の家 ⇒ 兎岳 ⇒ 聖岳 ⇒ 茶臼小屋
4 茶臼小屋 ⇒ 光岳 ⇒ 茶臼小屋
5 茶臼小屋 ⇒ 畑薙大吊橋 ⇒ 白樺荘 ⇒(高速バス)⇒ 東京 
天上の楽園

茶臼小屋まで行くかどうかの決心がつかないまま就寝。でも希望は残したい。行けるところまで行ってみるか、ということで午前2時起床、午前3時出発。辺り一面真っ暗なのにヘッドランプが開始10分くらいで切れるというトラブル(充電しながら進んだ←充電しとけ!)、真っ暗すぎて道を間違えるトラブル(GPS見て復帰)を乗り越えて、進みます。

4時過ぎの東の空
中盛丸山

前日はゆっくり日の出を拝んだけれど、この日はもうそれどころじゃない。

ちょっと雲がー

と言いつつしっかり見たりして。

おはようございます

今日も良い日だねぇ。

小兎岳

奥に見えるは兎岳と聖岳。前日に引き続き晴天で大展望。本当に山の奥深くそのまた奥深いこの場所。自分の足でここまで来たんだなぁ。大感動!最高!

こんな景色を見せられたら頑張るしかない。

兎岳と聖岳

中盛丸山、小兎岳を越える。一歩ずつ進み、一山ずつ越えていきます。そして手強いと噂の兎岳へ。この日の序盤なのでまだまだ大丈夫。でも必死過ぎてこの辺り記憶喪失気味。お花もあったような気がするけど、前日にたくさん撮ったのでもういいや!ってなっていたような。

小兎岳から1時間、兎岳登頂。しばし景色を堪能。この日もうここで終わりでも良いわ…。いやまだ午前6時半。体力消耗度75%。

聖岳をバックに
赤石岳と歩いてきた山々
遠くに見えるは中央アルプス
地球のエネルギーとアート

大感動に包まれながら、次に向かうは本日の一番の主峰の聖岳。大きいなぁ。美しいなぁ。どこから登っても最高強度の山に挑みます。

聖岳

兎岳を下り40分ほどで聖兎のコルと呼ばれる鞍部に到着。岩壁に赤い層が。赤色チャートと呼ばれるもので、赤石山脈の名前の由来に。これ “太古の動物性プランクトンである放散虫の二酸化ケイ素の殻が集積してできた巨大なチャートの岩盤” なのだそう。また、南アルプスは年に3、4mmほど隆起しているそうで、確かにスタート地点の畑薙ダムから椹島までの道も山の斜面もかなり崩壊している。台風や大雨などのせいかと思っていたけれど違うのですね。地球の営み、大きなエネルギーが感じられる場所。

でもワイルド過ぎて「ここ本当に進んで大丈夫?」と心配になった。

聖兎のコルから聖岳方面の岩壁
赤石チャート

一際美しいマツムシソウ。真っ赤なかわいい実を付けたオオヒョウタンボク。全てが地球のアート作品。今日も完璧ね。

最高傑作
美味しそうだけど毒あり

かなりの急登をえっちらおっちら、マイペースで進む。少し開けた場所へ。歩いてきた稜線を振り返る。厳しくも美しい。

兎岳
赤石岳
イワヒバリを探せ!
あれは山頂?!
聖なる緑の山々

最後はゆるやかに山頂へ。聖岳3,013m。日本百名山の一つで南アルプスの3,000m峰では最南端。名前の由来は聖なる山、というわけではないようなのですが、美しさは名前にピッタリ。とんでもなくきついけど…!5年前は雨で展望が無かった聖岳。午前9時、リベンジ完了です。

ただし登り切る直前に赤石岳方面はガスで見えなくなってしまった。ぎりぎり見えた富士山とともに。

登頂!

これから進む聖平小屋からピストンで来る登山者さんも多いこの山、最強クラス。しかし広い山頂部はとても優しく穏やかな様相で、登山者の憩いの場所。私もコーヒーでも飲みながらゆっくり過ごしたいところですが、例により急ぐ山旅、20分ほどで次に進みます。

聖岳からの下山道はガレガレの急坂で、疲れた足に容赦ない負担をくれる。これから進む稜線がギリギリ見えて、壮大な広がりを見せてくれる。自然はいつでも何でも惜しみなく与えてくれる、この奇跡の目撃者の私に。

上河内岳、茶臼岳の稜線

どんどん下って樹林帯突入。優しげな道に見えますが確実に標高を下げ続けていく過酷な道。

もうすぐ聖平
振り返って聖岳
聖平

聖平小屋のあるこの場所は2,300m。この標高差よ…。本当に南アルプスは一つ一つの山が大きい。午前11時。聖平小屋はここから左に分岐し少し行ったところ。茶臼小屋はここから直進4時間。体力消耗度は120%。まだ迷いながらも、消耗具合は前日ほどではないので、行けるところまで行こうと覚悟を決める。聖平小屋に立ち寄るほんのわずかな時間も体力も惜しみ、そのまま直進。水分補充もトイレもパスです。コントロールしながら乗り切る。

5年前はここから1時間弱くらい進んだ場所で激しい雷雨に遭い、茶臼小屋まで行く予定が聖平小屋に引き返してきた。まだ経験の浅かった私が体験した初めての予定変更。あれも良い経験だったな。でも今回もまた同じ経験になりませんように、お天気を願いながら。

セリバシオガマ

しばらくは樹林帯を進む。南アルプス南部の美しく深い森。

緩やかな登り返し

森を抜け南岳のピークへ。崩壊斜面のギリギリに作られた登山道。このハイマツの斜面を進んでいる時に雨がポツポツ。レインウェアを着るかどうか悩むくらいの雨が降ったり止んだり。この後は着たり脱いだりを繰り返した。引き返すほどではないのでそのまま進む。足も何とか動くし、前日の小赤石岳での試練、死闘を考えればまだ全然大丈夫。

南岳へ
南岳
緑の道が続く
上河内岳肩
山のアイドル調査兵団

上河内岳肩に到着。頂上まではピストンで25分くらい。上河内岳は二百名山で、この頂上からの聖岳の眺めが素晴らしいのだけど、雨なのでパス。雨の中でも行ってきたテントのお兄さんは途中でライチョウを見たと!上河内岳周辺はライチョウ生息地で、よく見られるそう。またここは絶対リベンジする。

もう戻るよりも進む方が距離が短くなり、茶臼小屋にロックオン。行ける!行くぞ!

時折見える稜線に癒されながら進む。降ったり止んだりの小雨は続き、写真を撮れない場所も。時期にはお花が咲き乱れるのだろうな、という原っぱ地帯もあり、また季節を変えて訪れたいな。

茶臼小屋まであとわずか、というところで前方から数名の集団が。今からどこへ行くの?と思っていたら、なんとライチョウ調査団の方々。長野県の野鳥研究所の方、静岡ライチョウ研究会の方などの合同調査会だった様子。

ライチョウの分布域の世界最南端がこの場所。ライチョウの足にカラーリングを付け、個体調査や行動観察などを行っているのだそう。私はまだこの山旅でライチョウにはお会いしていない…。

茶臼小屋で一緒になり、お話しを伺ったのですが、調査の様子の写真を見せてくれたり、ライチョウの羽を嬉しそうにカバンにしまう姿がとてもキラキラ楽しいエネルギーで溢れていて、こちらまでとても楽しくなりました。好きなことしてニコニコ生きるって何よりも正義。世界を幸せにするよね。みんな好きなことしよう。

ライチョウは山のアイドル。見つけると時間を忘れて見入ってしまう。本当に可愛いのですよね。私も保護活動興味あり。

ライチョウ調査団

最後に少し雲が晴れ、稜線でしばし休憩。5日間晴れのつもりで出発してきましたが、どうやら翌日翌々日は雨の様子。最後の景色を楽しんだ後は、稜線から下ること7分で本日の宿泊地茶臼小屋へ。5年来のリベンジ完了。ここもずっと来たかった山小屋。14時半。お疲れさまでした。

茶臼小屋
飲み物も水も豊富にあり
終わりなき旅

非常に素晴らしい一日が終わり、旅も折り返し地点に。始まるということは終わりが来るということ。ただし山ガール道に終わりはありませんけどね!始まったが最後!

本日は5日間中3番目の中間の辛さ。っていうかこの行程が3番目って、全体どんだけ辛いんだ!

茶臼小屋は昨今の事情により素泊まりのみで、食料持参。でも食事のためのお湯は無料提供してくれるので、ガスは持って行かなくても良かった。食事も買えるので、ここで調達してもOK。

今年は雪解けが早い&雨が少なく北アルプスエリアなどで深刻な水不足ですが、ここ南アルプスでは豊富に水がある。山がくれる美味しい湧水を飲み、闇夜と共に眠り、太陽と共に歩き、体の内側から細胞から、行動全てでこの大自然と一体化していく。

翌日の光岳往復は10時間コース。小屋番さん曰く雨は降るけどひどくはならない、行けると思うよ、とのこと。体力はもうギリギリ。果たして私は光岳へ行って帰って来れるのか?!Day4&Day5に続く⇒南アルプス南部大縦走5日間【光岳~下山】深遠なる最奥部へ Day4 Day5 2023.8.23-24

まだまだ続く🌟

おすすめアイテムはこちら。SOTOのマイクロレギュレーターストーブウインドマスター。山で使うガスバーナーです。風と寒さに強くとても高性能。山ごはんや山頂でのコーヒータイムに。