徳島高知【剣山】笹の優雅な稜線から徳島県最高峰へ Day2 2024.9.9

旅の2日目。1日目はこちら⇒徳島高知【三嶺】高知県最高峰・四国人気随一の美山へ Day1 2024.9.8

避難小屋での一夜はこちら⇒恐怖!真夜中山奥の避難小屋で…

この日は前日に引き続き笹の稜線を歩き、丸石1,684mや次郎笈1,930mを越え、剣山1,955mに登頂、見ノ越登山口1,410mに下山、そして見頃バス停までの10kmを歩くコースタイム9時間の山旅後半戦。9/9(月)

◇ 旅の行程 ◇
1 三嶺登山口(名頃バス停) ⇒ 三嶺 ⇒ カヤハゲ ⇒ 白髪避難小屋
2 白髪避難小屋 ⇒ 高ノ瀬 ⇒ 丸石 ⇒ 次郎笈 ⇒ 剣山 ⇒ 大剱神社 ⇒ 見ノ越 ⇒ 名頃 
あけぼの東の空

無事に避難小屋での一夜を明かした後、起き出した午前4時頃は星空がとても綺麗だった。食事と身支度を済ませ、薄明りの午前5時、出発。夜明けのグラデーション、最高に美しい。

この日は避難小屋から剣山まで東に向かって一直線!な登山道。光を目指して歩いて行く。

夜が明ける

30分ほどで平和丸というピークへ。前日同様、雲というかモヤモヤな感じで、個性的な日の出が見られました。

白み
出て来た
ぴかー

ススキが少し秋を思わせる風景。

ススキ

無名の三角点ピーク、1,732mの頂上からダイヤモンド。

ダイヤモンド

笹原が朝日に照らされてキラキラ。

キラキラ

今回の旅の友は、サン。私はサンのような強い娘だ!という気持ちで避難小屋の一夜を乗り切りました。SUNは太陽という意味でもありますね。輝く朝日のようにこの世を明るく照らそう。

サン

振り返って青空。

青空

見晴らしの良い笹原歩きが続く。笹が朝露に濡れていて、足元だけ大雨ずぶ濡れ状態。晴れなのに。すぐに靴下まで浸水して来る。笹原歩きは長靴必須かも。

オオヤマレンゲの群落地帯だそう。見頃は6月下旬~7月上旬とのこと。モクレン属の気品のある白い花。

オオヤマレンゲ群落

午前7時、2時間ほどで高の瀬1,740mへ。特に何もない感じのピークなので先に進みます。

高の瀬

ここからは少し下り基調で、樹林帯の中に入っていく。二重かずら橋登山口への分岐のところで、避難小屋のそばでテントを張っていた男女の二人組に追い付く。夜中テントは鹿に囲まていれたそう。私と同じく、北アの予定を変更してこちらへ来たそう。北アに行けなかった無念、自責の念が少し薄らぐ。

留まりもぐもぐタイムをしていると、剣山方面から来たグループとすれ違い出す。ここから先も滝雨笹原ゾーンが続くらしいが、暑すぎて拷問なのでここらでレインウェアを脱いでしまう。

美しい樹林帯、どこまでも歩いていけそう。

樹林帯を進む

そして丸石避難小屋。今回の行程上に3つあるうちの最後の避難小屋。白髪避難小屋と同じくらいのサイズと作り。こちらは樹林帯の中にあり、もしここで一人になったら恐怖の妄想だけで心臓が止まりそう💔。と思ったので選択できずだったが、なんとこちらは数名外国の方が泊まっていた様子。まぁ、運よく生きているので、昨晩のことは良き経験として。

丸石避難小屋
笹の仙境

午前8時半、丸石1,684m。だんだん青空度が増してきた。

丸石
登頂!

ここから見る剣山と次郎笈への稜線がとっても美しい。桃源郷ならぬ、笹源郷だな。俗界を離れた別世界。山の上には天国がある。

向かう先の山に雲が掛かりモヤモヤしているが、これから良くなり青空になる予報。紅葉や雪景色なども素晴らしいのだろう。季節を変えてまた訪れたい稜線。

剣山、次郎笈へ

ひたすらに歩きながら私の胸は喜びで満たされていく。

分岐を超え

振り返って歩いてきた稜線。美しい笹原、天空の散歩道。アップダウンは多少あるものの、全体的になだらかでゆるやかに過ぎていくので、とても心地が良い稜線。時折いる道端の高山植物がさらに元気をくれる。いつまでも歩けそう。縦走路は登山者が少なく、この景色はチャレンジした人だけのもの。

なだらか

次郎笈に近付いてきたが、雲があと一歩晴れない。最後の上りと暑さが睡眠不足の体に堪えるが、山頂を射程圏内に捉え、一歩一歩、体を前へ、上へと進めていく。そうすればいつか必ず辿り着けるから。

雲の中

剣山の姿がはっきりと見えて来た。最後のピークはあそこ。

剣山

そして次郎笈のすぐ手前に来たところで雲がだんだん晴れて来た!

もうすぐ山頂

午前10時、次郎笈1,930m。テントのおじさまに写真を撮ってもらう。

登頂!

剣山への最後の稜線がこちら。

わーい

この次郎笈あたりから、登山者が増加。剣山はリフトもあり、百名山ということもあって、ここだけ登りに来る人も多い。山の都会感が漂い出す。

ゆっくり堪能した後は、最後のピーク、剣山へ。賑わいの中へ突入。

剣山へ

撮ってくれと言わんばかりに上を向き咲き誇る高山植物。美しくたくましい。

リンドウ

綺麗な登山道で、お散歩かな?と思う程。

道は続くよどこまでも

振り返って次郎笈。大きい山ですなぁ。

次郎笈

写真右側、西に目を向けると歩いてきた山々の連なり。

美しい山脈
神と恵みの水

そして着々と登り上げると、階段が出て来た。まもなく山頂。

いざ

午前11時、剣山1,955m。西日本第2位、徳島県最高峰。

登頂!

剣というと鋭そうな印象だが、名前と違い優しい女性的な山容。山頂部は平坦で「平家の馬場」と呼ばれる広い笹原、木道が敷かれていてベンチも多数。お弁当を食べる方たちなどで賑わっていました。

山頂部

山頂近くには剣山頂上ヒュッテが。ここは営業小屋で、たぶん直前でも泊まれたような気がする。素直にここに泊まっておけば良かったと思わなくもない。

剣山頂上ヒュッテ

ここからは見ノ越登山口へ向けて下山。神社を巡りながら。御神体は巨岩、御塔石というようだ。

御塔石
剣山本宮
大剱神社
御塔石

大剱神社から一旦ルートを外れて下ること5分ほどで、名水百選、剣山御神水が。

名水百選

平家伝説の地の、神の水。ミネラル豊富で長期間腐らず、病気を治す若返りの水だそう。この日も激暑で、熱い体に冷たい水がまさに恵み。まじりっけの無い透き通った宝石のような水。これからは下山するだけでそんなに水は要らないし、10km2時間のロード歩きが待っているので荷物を軽くしたいのにもかかわらず、あまりの美味しさに1ℓも汲んでしまった。

こんこん

再び下山開始。ここ剣山は、四国には珍しく亜寒帯植物林が分布している場所で、名勝天然記念物なのだそう。学術的に貴重だという植物たちの間を抜け、鳥居をくぐりつつ進む。

鳥居
こちらにも

ここ剣山には登山リフトがあり、見ノ越登山口からこのリフトを使うと、1時間ほどで山頂に立てる。難所も特に無いので、ファミリーや初心者にも安心の優しい山。森林浴と登山にいかが。

西島駅
リフト

テントのおじさまと一緒になり、お話しをしながら下る。登山道はよく整備されていて歩きやすく、順調に高度を下げていく。高度が下がってくるとさらに暑い。

リフトは使わずに下り、麓の剱神社へ。13時、見ノ越登山口1,410mに下山完了。

剱神社

ここでテントの二人組のお姉さまとおじさまとお別れ。

普段はワンウェイの縦走を計画する私ですが、今回は交通手段がどうしても無いので、周回コース。出発した名頃バス停を目指してロードを10km、2時間歩く計画。

トイレを済ませ、昼食をもぐもぐし、コーラを仕入れ、気合いを入れて歩き始めたところ、後ろから私に近付く車が。

なんと先ほどのテントのお二人が、途中の二重かずら橋まで行くから乗っていきな、と拾ってくれた!神ー!

関西から来たというお二人、毎週のように山に出掛けているそう。大きなザックでテントを担いで、健脚な上に優しい。山で出会う人は皆、心身ともに健康だ。山に行く人はきっと皆、前世で相当な得を積んでいるに違いない。

秘境の奇橋

ということであっという間に7km進んでしまう。

時間が浮いたので、私もお二人に同行して奥祖谷の二重かずら橋を見学することに。観光客が良く来る有名な方はもっと下流にある祖谷のかずら橋。受付のおばさまに「何か違いがある?」と聞いたら「素材は同じ」と。そりゃそうだ。

平家一族が剣山の「平家の馬場」に通うために架けられたといわれる橋で、男橋(おばし)と女橋(めばし)の二本あり、夫婦橋(めおとばし)とも呼ばれる。近くにはロープを引きながら渓流を渡ることができる「野猿」(やえん)もあり奥祖谷を代表する観光スポットです。

平家伝説が色濃く残る地域。素材はシラクチカズラ=サルナシ、昔は深山渓谷地帯の唯一の交通施設だったそう。

女橋から

かずらだけで掛けられた橋かと思いきや、ちゃんとワイヤーが入っていました。

ワイヤー入り

それでも怖いものは怖い。吊り橋って怖いよね、足元が宙に浮いているってゾワゾワする。崖っぷちよりも吊り橋の方が怖いのは私だけ?

川を渡る
野猿は今使えません
男橋

男橋の方が高さがあり、怖かった。

美しい渓流

西に向かう私と、東に向かうお二人、ここで本当にお別れ。大変お世話になりありがとうございました。感謝感謝。

残りは3km。帰りのバスには十分に間に合うので、ぽくぽく歩いていく。緩やかに下りながら舗装路は続く。

30分ほどで名頃バス停へ。なんと出発時に置き去りにしてしまったトレッキングポールのケースとここで再会!今回ばかりは周回コースで良かったということになる。

1つ先の名頃下バス停まで歩く。ここには案山子の集落があるそうで、行きのバスの中からも見えたので、見学しに行く。

案山子

バス停のところにある建物の中にも外にも、案山子がたくさん。

建物の中にも

近くにある廃校になった小学校の体育館や道端など、300体以上もあるそうだ。カラスもびっくり。観光の方もちらほら。

明るい所で見るとほっこり優しい感じがするけれど、もしこれ避難小屋にあったら嫌だな…(まだ避難小屋の恐怖を引きずる)。

小学校跡地

そして名頃下バス停では前日も一緒のバスだった外国人のお姉さんと再び一緒になる。全く日本語が話せないのに、日本各地の山を登ったり街を散策して旅をしているとのこと。あっぱれです。彼女は私と逆回りで同じコースを歩いてきていたので、山中でも一度すれ違った。

私も全く英語を話せないが、何とか単語で会話。目的地が同じだったので、一緒にバスを乗り継ぎ、JR阿波池田駅へ。そこで彼女とはお別れ。別れ際に「Nice to meet you.」と言われ、それが初めましての時だけに使う挨拶ではないことを知る。私も会えて嬉しかったよ。

コンビニでビールとつまみを購入し、鈍行電車で徳島駅へ。そして再び夜行バスで帰路へ。

計画変更、突然の決行からの夜行バス、恐怖避難小屋、夜行バスの三夜はとてつもなくハードで、幽霊でも憑いてきちゃったかなと思う程の疲れ(憑かれ?)で、翌日は寝込んで終わりました。山をやるにはとっても体力が要りますね。

次は9月後半から10月前半にかけて怒涛の秋山登山3週間。南北八ヶ岳、朝日連峰、那須、白山と続きます。私の人生という山旅はエンドレス山脈を縦走中。次の山旅へ続く!

今日もthanks🌟