神奈川の屋根
それは丹沢。私の中学校の校歌にも丹沢が登場していたような。マイホームマウンテンは大山と公言している私ですが、実は全然丹沢のこと知らなかったじゃん!と今回の山行をしてみて思いました。
2年半くらい前の秋、1泊2日で丹沢を縦走(宮ヶ瀬~西丹沢)したとき。県内なのでいつでも行ける=絶対天気の良い時に行きたい、と思い、天気予報晴れ☀を見て向かったのに、稜線だけすっぽり雲の中、しまいには雨…。縦走は出来たけど、景色は全く見られず、という残念なことが。
今回も泊りがけで行こうかと思っていたのだけど、1日目の予定の1/28が曇りにわか雨予報でパス、2日目の予定のこの日は快晴。一日で駆け抜ける一大挑戦に。1/29(月)
夏場はヒルが出る山域なのと、標高がそこまで高くない(最高峰の蛭ヶ岳で1,673m)から暑いので、秋~冬が最適。
大倉登山口から塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳を経て焼山登山口まで至る北上ルート。全長26.6km、累積標高2,300m。コースタイムは12時間。以前の私なら確実に1泊2日の行程。なのですが、最近ランニングを始めて体力が付いてきたので、体力試しでもあります。
峻嶺へ
朝1本電車を逃し、朝2番のバスで大倉登山口、標高290mへ。7:35スタート。
大倉尾根は通称“バカ尾根”、標高差約1,200mを一気に登ります。確かに標高差はキツイのだけど、道が良く整備されていて、そこまで大変な感じはしない。ワンちゃんを連れた方も。ベンチや山小屋が点在し、トイレも多数。多くの登山者が入り、自然が荒れてしまったところは修復の手が加えられています。
中間地点にある駒止茶屋、標高893m。このあたりになると稜線がだいぶ近づいて見えてくるのと、木々の間から下の町並みが見えるようになり、山感増し増し。8:45
富士山がチラ見えしだしてきた!真っ白!
ほぼひたすら登りなのだけど、良く整備されています。登る登る。
振り返って、登ってきた尾根と町並みと相模湾。ここを下るのも楽しそう。今度は逆から歩こう。
花立山荘、良い立地にあるわぁ。9:45
蒼天の峰
第一のピーク、塔ノ岳、標高1,491mへ。10:20
丹沢山地は古来より山伏や修験者の修行の場として利用されてきたそう。それにちなんだ名前が付いている場所や、こうした仏像などが各所に。
どこまでも青い空に裾野までバッチリ姿を見せてくれる富士山が映える。丹沢の山並みが重なり合い、もっとその先の奥深いところへと行きたくなること間違いなし。この眺めを目指して来る登山者も多い、ここ塔ノ岳。開けた山頂部はゆっくり景色を眺めたり、ご飯を食べたり、休憩したり、長居するのにもってこいの場所。ただし季節は冬、動いている限りは大丈夫だけど、止まると急に寒くなってくる。写真を一通り撮った後は、先へ。
本当の丹沢の底力はこの先に!
緩やかにアップダウンを繰り返す、開けた稜線。こんなに美しい楽しい稜線歩きが神奈川に、丹沢にあったなんて。以前来て何も見えなかった時に出会った茨城のお姉さんは、丹沢が好きで毎週のようにこの辺りに来ると言っていた。その時は「物好きな…」と思わなくも無かったけど、この景色を見れば納得。私も毎週来たいよ!こんなに最高だなんて知らなかった!
西側には富士山の眺めが、東側はなかなか開けないけど、途中の竜ヶ馬場からは東側の展望が。朝日を眺めるのに良さそうな場所。
そして第二のピーク、丹沢山、標高1,567mへ。11:20
山頂部は開けてはいませんが、富士山が相変わらず出迎えてくれる。以前泊りにきたみやま山荘があるのがこの場所。ご飯が美味しいで有名。ここにも仏様が。
日本百名山の一つでもある丹沢山。このピークがそうというよりも、丹沢は周囲の山域を含めた評価なのだそう。
天上世界
丹沢山に着いた時点で11:30を超えていたら、体力が無理そうだったら、宮ヶ瀬へのエスケープルートへ進もうと思っていましたが、時間も体力も大丈夫そうだったので、トイレを済ませ、いざ先へ!
この日一番の絶景。稜線越しの富士山。丹沢山を出発しすぐの場所。天空の縦走路へ。
不動ノ峰という場所へ。以前は無かった新しい小屋が。昨年2023年に建てられたばかりだそう。木の良い香りのする小屋内は日が差し込んで暖か。私の理想の暮らしと重なるような景色、建物。今度はここでお昼休憩をゆっくりするような計画で山に来よう。
振り返って丹沢山。笹原の稜線が続く。遮るものがないので日焼け対策必須。
荒涼とした姿もまた、地球の生きとし生ける姿。時空も肉体も自我も忘れてただただ感動に、奇跡に胸を震わすこの感じ。稜線の上はたぶん極楽浄土の入口。
この鞍部あたりで大人のイノシシを目撃。牛かと思う程の大きな体でヒョイヒョイと歩いて行かれました。自然の神の姿でしょうか。突進されたら確実にあの世行き。
蛭ヶ岳が見えて来た。足場はほぼ安定しているけれど、岩の急斜面があったり、泥でぐちゃぐちゃなところがあったり。ミドルカット以上のシューズ推奨。(私はミドルカットシューズで行きましたが、靴下までドロドロに。)
そして第三のピーク、蛭ヶ岳、標高1,673mへ。丹沢山塊、そして神奈川県の最高峰。13:00
最高峰で、最高の気分。一日で来れた!よく頑張った!
次はここ蛭ヶ岳に1泊する計画で来よう。夕日も朝日も、ゆっくりたっぷり満喫しに来よう。早く駆け抜けるのも良いけれど、たっぷり時間を使うのも良い。
蛭ヶ岳手前で一緒になったお兄さん、東京から丹沢へ何度も通っているようで、「丹沢は2月が一番良い!」と。足元のぐちゃぐちゃ泥も落ち着き、景色も最高だから。とのこと。
また、山頂で休憩していた別のお兄さん2人組はもうバリエーションルートなどをガンガンにやっているそうで、「雨の直後の沢登りが大好物」だとお話ししている声が聞こえてきました。丹沢は水が豊富で、沢登りも人気な山域なのですよね。
冬の定番になりそうです。
自然の道
少し休憩した後、蛭ヶ岳山頂を後に。ここから先はコースタイム5時間、北の焼山登山口を目指す。日没とバスの時間(17:51)を考えると、ゆっくりはしていられないので先を急ぐ。
すぐに樹林帯へ入り、展望の良い稜線はさようなら。ここからもけっこう長い。
1時間ほど下り、姫次というポイントに。ここから先~焼山登山口まで、東海自然歩道の一区間。1都2府8県に及び、自然と貴重な歴史を伝える文化財などを訪ね歩く、長距離自然歩道。だそうです。優し気な名前の通り良く整備されているところもあれば、こんなところ歩かせるのか、と思うところもあり。な道でした。14:15
途中のピーク、黍殻山、標高1,272m。登り口が分かりにくい。15:05
最後のピーク、焼山、標高1,059m。ここで今日一番の寒さ。日が傾いて気温が降下、強めの風が吹き、手が凍傷になるかと思った。そそくさと退散。15:45
ここから急下降。焼山登山口、標高320mまで標高差約700mを一気に下る。すごいトラバースの斜面が一部。ここも自然歩道っていうなんだか優しい名前の道に含まれるのね、そうなのね…って感じでした。
焼山登山口、標高320m、17:05ゴール。お疲れ様でした。行動時間は9時間半。明るいうちに下山出来て一安心。待っている間にどっぶり日は暮れ、バス(17:51)が来たときはネコバスが迎えに来てくれたかと思う程だった。
バスを2本乗り継ぎ、電車に乗り、バイクで自宅へ。帰宅したのは20:20頃。一大挑戦の一日が終了。
丹沢の魅力、底力、知らな過ぎました。神奈川県在住山歴10年の山ガール、今まで何していたんだ。知らなくてめちゃくちゃ損していた。何だか遠くに求め過ぎていたのかもしれない。と気付いた。感動や変化をもたらしてくれるものは、遠くにあると思い込んでいたのかも。これも私の今年のテーマ「内」に繋がるではないか。外ではなく、内だ。これからもっともっと探検しよう。そうしよう。
行きたいところがありすぎてどうしましょう。次の山旅へ続く!