Kobo Trail 2025~弘法大師の道~ D to K|奈良・洞川温泉から和歌山・高野山まで|トレラン大会|2025.5.18

弘法トレイル

出走しました。5/18(日)

【部門】D to K/43.2km、+2,300m
【結果】10時間07分57秒 で完走! 女子5位入賞、総合16位。(出走者少ない)

感動の記録です。

弘法トレイルなるトレランの大会がある、と耳にしたのは昨年末。時を超える山岳界のスーパースター、弘法大師様があの高野山を発見した道を辿るとな。何その激アツ大会!そんな福々しいルートで高野山にアクセスできるなんて素晴らしい!私も高野山に駆け込みたい!と、エントリーを決意。

「弘法大師の道」とは?
 「弘法大師の道」は、空海の弟子が編纂した詩集「性霊集(しょうりょうしゅう)」の中に、若き日の弘法大師が吉野より南に1日、西に2日歩き、高野を発見したとの記述があり、それを基として現代に甦らせた「吉野山」から「高野山」を繋ぐ道のことです。

 奈良県と「弘法大師の道」沿線市町村(吉野町・天川村・五條市・野迫川村・高野町)で構成された実行委員会・奈良県吉野山の金峯山寺(きんぷせんじ)・和歌山県高野山の金剛峯寺(こうんごうぶじ)が連携し平成22年(2010年)から「道」の踏査に取り組み、平成26年(2014年)に全行程の踏査が終了、「弘法大師の道」としてお披露目されました。

 「Kobo Trail ~弘法大師の道~」は今回で10回目の開催。金峯山寺、洞川温泉の2地点をスタート地点とし、ともに高野山金剛峯寺を目指します。長らく人が通らず道なき道となっている部分もありますが、世界遺産登録区域である「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」の一部を走ることができ、アップダウンが繰り返されるコースは、さながら修行の体験をすることができる稀有なレースです。

「Kobo Trail 2025~弘法大師の道~」 エントリー開始!より抜粋

吉野山の金峯山寺をスタートする「南に1日、西に2日」のフルコースは K to K 55.7km。洞川温泉をスタートする「西に2日」のショートコースは D to K の43.2km。もちろんショートコースを選択。前泊がセットになっているトレラン大会ツアー、催行は南都観光社さん。お世話になります。

修行と聞けば、絶対に成し遂げたい。完走を目指し、練習を積みました。トレイルの大会自体も3回目で、距離も累積標高差も私にしては過去最高。ドキドキしながら当日。

洞川温泉

前日5/16(金)から奈良橿原インして、大和八木駅で受付5/17(土)。なんとこの日は大雨。大会仕立てのバスに揺られること1時間半で、前泊地の洞川温泉へ。標高820mの山間の温泉地。道中土砂降りだったのが、着く頃には小雨に。ブリーフィングでは、この弘法大師の道を調査した地域振興のプロ、元スーパー公務員の福野博昭さんや、コースプロデューサーの横山峰弘さん、ゲストランナーの鏑木毅さんなどのお話しを聞く。

弘法大師様(774-835)の生きていた時代は、世は天災や疫病など不安定で、山には野生動物や山賊など。もちろん現代のようなレジャーで登山を楽しむような時代ではないので整備された登山道や地図などはなく、藪漕ぎしながら道なき道を行っただろうし、登山靴もなければエイドもない。そしてどこがゴールかも分からない。本当に命がけの危険なものだったはず。そんな弘法大師様の人々を思う心や情熱に思いを馳せて、明日からのより良い人生に繋げていって欲しい。という主催の想いが伝わります。

その後は、龍泉寺にて護摩行と水行。心身を禊ぐ。(水行は希望者のみ)

水行

女子の前に男子がやるのを見ていて、ものすごく震えている方が数名いてビビりましたが、入ってみれば何とか耐えられそう。冷たい水に腰まで浸かり、法螺貝とお経の数分間、ご祈祷を受ける。とっても清まりました。無事に高野山に辿り着けますように。(お坊さん、女子の時は気持ちお経を早口で唱えてくれていたような気がしたのは私だけかな)

洞川温泉は大峯山(今でも女人禁制)登山の拠点になっているなど、賑わっている印象。古い街並みの面影が残る素敵なお店や宿が並び、縁側で旅行者が語らい、行き交い、とても良い雰囲気でした。胃腸の薬「陀羅尼助(だらにすけ)」や吉野葛などが有名。温泉ももちろん良きです。宿はお庭が素敵な光緑園西清旅館で、お料理も温泉もとっても最高。部屋はランナー女子たちと相部屋、ご一緒した皆さま、ありがとうございました。

D to K

そして迎えた当日の朝。数日前の天気予報では「前線の場所次第では警報級の大雨」と言っていたので開催が危ういという動きも出た中、なんと曇り晴れに変わり。これはもう呼ばれているとしか思えない。

行くぞ!

7:45開会式、8:00スタート。洞川温泉からは約60名が出走。誰も気合い入れてスタートラインに並ばないというゆるっとした感じで始まる。沿道では宿の方々が声援をくれる。派手さもバチバチ感もない、こじんまりとした温かい大会。だって修行の道だから、誰かとの競争というよりは自分への挑戦だものね。リピーターが多いのも頷ける。私も大好きです。

道のりは長いので体力温存のためという言い訳をして、ロードの登りは同じペースの方とおしゃべりしながらじっくり歩いていきます。

尾根への取り付き、小南峠へは急登。前日の雨でぬかるみ、苦労しながら登る。しかし、私には今回強い味方が。それはポール。山登りの経験が生きているのか、ポールがいれば急な登りも力が出る。ありがとうポール(人ではありません)。

幾度となくアップダウンを繰り返す尾根道。手が加えられていない自然の気持ち良いコース。「とにかく緩い方じゃなくキツい方がコースだから!笑」とブリーフィングで言われた通り、急な登り下り箇所も多く、木々が生い茂り人一人分の狭さの道もあり、本当に弘法大師様は命がけだわ…と感じる。一般のハイカーさんは誰もおらず、出走している人も多くないので、渋滞等も何もなく、前後に誰も見えなくなり一人になる瞬間も多数。弘法大師様に思いを馳せながら、静かに前へ進んで行く。

公式エイドの他、私設エイドが3、4ヶ所あったのですが、毎年なのだそうで、本当にありがたい限り。スポーツドリンクやコーラ、水の他、柿の葉寿司やプリン、バナナやオレンジ、パンや餅、うどんまであり、美味しいものでランナーに活力を与えてくれていました。

レース展開はというと、予想していたよりも気温が高めで汗びっしょりになり、思った以上に水分を消費。でも暑いから体が動かないということはなく、好調感あり。10kmで調子が出てきて、20kmであと半分持つかなと不安になる出力100%。30kmで何もかも尽きた、出力150%でもう走れない、と思うも、エナジージェルを投入すると少し復活。栄養の力って本当にすごい。

今回は初めてテーピングをして挑んだ。痛みが出やすい左ハムストリングス、右腸脛靭帯にテーピング。疲れて動きが乱れてきた後半、支えてくれているのを皮膚から感じる。

緩やかな下りと平坦なところはできる限り走り、登りと急な下りは転ばないように確実に。一度下りで滑りお尻を強打するも、分厚い脂肪のおかげで無事。しかしシューズが合っていないのか紐が少し緩かったのか、はたまた靴下が合わなかったのか、下りで足が靴の中で滑る感じがあり、小指は潰れ親指には肉刺が。それでも完走を目指して走り続ける。絶対に完走する、そして私は弘法大師様になる!というのはただの自分との約束、決意なのだけれど、不思議なものでそれは諦めずにやり遂げる強い原動力になる。

高野山

そして辿り着いた最後のエイド天狗木峠から高野山の壇上伽藍までは約7km、残すはロード。少しでも登坂なら歩く私でも、最後は高野山に駆け込みたい!とにかくここからは歩かずに走ろうと、頑張りました。たぶん50m、いや100mくらいは途中歩いてしまったけれど…。緩やかに山を下り、高野山の聖域に突入。綺麗に整備された雅な道を、汗だくの泥まみれのランナーが駆けていく。観光客の方々は何事かと思ったことでしょう。

壇上伽藍と大会の白いテントが見え、遂にゴール!福野さん横山さん鏑木さんがハイタッチで迎えてくれたとき、走ってゴールできたこと、完走できたこと、自分との約束が果たせたことに涙がじわる。ところが、「女子5位だよ5位!」と言われ、え、何言ってるの?私が5位入賞?驚き過ぎると涙は引っ込む。

ゴールの儀式、お賽銭を入れ終え、鏑木さんから入賞賞品を受け取る。キツかったでしょ、と言われましたが、私はこのコースを走れることが幸せで面白すぎて、ゴールしたことに感動しすぎて、つい数秒前にキツかった記憶が飛びました。

ありがたく受け取った賞品はジャムなどの重いもので、完走と入賞の重みを感じる。

コースディレクターの横山さんと

無事に怪我なく完走できました。弘法大師様になったかもしれません。え?そうは見えないって?心の温かい目で見てくださいね。

後で確認したところ、女子エントリー31名(完走19名、DNS6名、DNF6名)と、すごく人数が少なかったのでした。小規模な大会では私のような鈍足初心者ランナーでも入賞できることもあるのですね。自信とネタになりありがたい限り。

結果

予想は制限タイムギリギリのゴールだったので帰れないと思い、高野山の宿坊に申し込み後泊。お愉しみさまでした。

生きる幸せ

翌日は高野山を観光。今も弘法大師様が永遠の瞑想を続けていると言われる奥之院の御廟へ向かい歩いている途中、お腹が空いてきて「みたらし団子が食べたいな」と頭に浮かんだとき、あぁ私って今、生きることが幸せで楽しいんだな、と実感して、ここで改めて涙が溢れてきました。20代から30代にかけて生きるのが辛く苦しく感じられて早く人生を卒業したい、悟りたい解脱したいと願っていたあの頃から、登山に出会いトレランに出会い、何かに挑戦し達成し、新しい自分に生まれ変わりながら、こんなことを思えるまでになったんだなと。

やりたいことも欲しいものもたくさんあって煩悩だらけで、とても悟りや解脱の境地には達する気配がありませんが、私は今生きることを存分に楽しんでいます。と弘法大師様に報告してきました。ありがとうございました。

最後に走った、壇上伽藍までの雅な道

余談、高野山は女人禁制だったので、弘法大師様はお母さまのいる慈尊院という20km離れたお寺に週に一度通い、お話しされていたそうな。往復40km、当然山道でしょ、弘法大師様もきっと山を走ることを楽しんだトレイルランナーだったに違いない。

来年も必ず来ます!

入賞賞品たち


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