晴天の約束
屋久島旅の3日目(縦走山旅の2日目)。2日目はこちら⇒屋久島縦走【紀元杉、淀川小屋】世界自然遺産の森へ Day2 2024.4.8
この日は朝方には雨が上がり、晴れ予報。花之江河を越え、黒味岳に立ち寄り、宮之浦岳、(時間とお天気、体力次第で)永田岳にも立ち寄って、新高塚小屋までのコースタイム10時間半の一日。4/9(火)
◇旅の行程◇
1 東京 ⇒(飛行機)⇒ 屋久島空港 ⇔(路線バス)ヤクスギランド、屋久島自然館
2 屋久島空港 ⇒(路線バス)⇒ 紀元杉 ⇒ 淀川登山口 ⇒ 淀川小屋
3 淀川小屋 ⇒ 花之江河 ⇒ 黒味岳 ⇒ 宮之浦岳 ⇒ 永田岳 ⇒ 新高塚小屋
4 新高塚小屋 ⇒ 縄文杉 ⇒ ウィルソン株 ⇒ 楠川分かれ ⇒ 太鼓岩 ⇒ 白谷雲水峡 ⇒(路線バス)⇒ 屋久島空港 ⇒(飛行機)⇒ 東京
午前4時半、雨の音は止み、晴れて来た様子。屋久島在住だというお姉さんが新月を目当てに小屋に泊まりに来ていて、星がすごいよ~とのことだったのですが、支度を優先し見に行かず。午前5時半すぎ、空が白み始めた頃、出発。小屋から1時間ちょっとの場所にある展望台で日の出が見れるかも?!と思ったのですが、日の出にはもっと早く出発が必要だった。日の出は6時。予報では6時頃までは雨か曇り、となっていたので、油断していました。
急な上りもありつつ、徐々に高度を上げていく。そして念願の太陽が。
1時間で高盤岩展望台へ。雨の島で、この日一日の晴れを約束するこの青空よ。ありがたき幸せ。ただし、風が強い。とても強い。
ここで軽く腹ごしらえをした後、屋久島在住のお姉さんに別れを告げて、先に進みます。
水と岩の冒険
小花之江河。木道にもじゃーじゃー水が流れ、川の中を歩いているかのよう。この先も、雨の後だからかいつもなのか、川の中を歩いているようなアドベンチャーロードがそこかしこに。大好き。
そして花之江河へ。ここは日本最南端の高層湿原。標高1,640m。湿原らしい木道が整備され、急峻な山間に広がる不思議な空間。あまり広くはなさそうでしたが、水がきれい。時期になればお花などが咲くのでしょうか。
ここも登山道。え、普通に川。
階段にカエル様が。このカエル様も世界遺産ね。
横を通らせてもらったら、のそっと跳んで行った。
そして黒味岳へ寄り道。コースタイム往復1時間20分。
ロープが数か所。なかなか登りごたえのある道。
ザックはデポしてトレッキングポールも置いて行った方が良かった。次回はそうしよう。
森林限界が1,700m付近、木々の背が低くなり、植物も変わってくる。世界遺産の登録理由の一つ、この島の中に亜熱帯から亜寒帯までがある。山を登ると良く分かる。
あそこに見えるのは高盤岳山頂、トーフ岩。まるでお豆腐を均等に切ったかのように見える。自然はすごいねぇ。次回はあっちも行ってみたい。
山頂到着。風が強くて、岩の上には立てず。
黒味岳越しに見える宮之浦岳にガスが…。もしやこれからガスに包まれる?!早く行かねば、と、登頂の達成感も眺望に浸るのも早々に退散。
本ルートに戻り、先を急ぎます。
この独特の景観。緑の中に散らばる巨大な花崗岩。そして下から上に行くに従いだんだんと変わっていく植物相。地球の姿がぎゅっと凝縮されたこの景色が見たかった。
投石岩屋のあたりで完全に森林限界を突破、天空の稜線に。
アシタカとヤックルは私のザックで後方の見張りをしてくれていました。
九州最高峰
こんな天国みたいな場所がある奇跡。そこにいて、その瞬間を見ている私がいる奇跡。世界自然遺産の森の中を、山の上を、歩いて歩いて、私の体はこの大自然と溶け合って一つになっていく。
そう、つまりは、私も世界遺産。ですよね。
なんかあっちにロボット兵いた。腕が無いね?何万回と巡る季節の中、何を見つめているのでしょうか。
あっちは黒味岳。植物相の違いが色で分かる。
いつの間にか足元は一面のヤクザサ。振り返って今歩いてきた稜線。
遂に目の前には九州最高峰、宮之浦岳が。標高1,936mの高みに到達します!
午前11時、登頂!やったー!
心配していたガスはその後出ず、薄い雲は高い場所にあるので、360度の大展望。もう一生こんな絶好の登山日和に出会えることはないのではないか、と思う程。(ただし風は強い。けれどまぁ普通みたい。)
雨の島だから、雨降っちゃうかな…飛行機飛ばないとかで入島拒否されたりして…。とかずっとうっすら思っていたのだけど。森はむしろ雨でもいいけど、せめて山はどうか晴れて欲しい…と願って願って。山に入る日を一日ずらして。奇跡を手にしました。
これが一生分の奇跡だとしたら、今まだ生きている私はこれから何生も出来そう。いくつも命を授かりました。屋久島、やっぱり神様いるよなぁ。ありがとう神様。
宮之浦岳で少しお昼休憩をした後は、宮之浦岳を眺めるため、永田岳へ。コースタイム往復2時間10分。もう一生ないかもしれない好機、行くしかないでしょ!と。あっちのギザギザの山。
ランニングを始めてから体力が付いたので、この時点でまだまだ体力十分。
宮之浦岳から20分ほど下った分岐から、永田岳方面へ。ザックはデポして向かいます。この稜線、この世界、本当に天国でしかない。死後の極楽浄土がこれ以上の絶景じゃなかったら神様に文句を付けたいくらいよ。
この山頂標識に辿り着く道が分からなくて、この岩の上を強風の中へばりつくようにして渡っていった。軽く命がけ。
山頂付近から、宮之浦岳を眺める。念願叶って良かった。本当に良かった。一人静かな時間。
来た道を戻ります。
ヤクシマシャクナゲがそこかしこに。そしてもう蕾が。屋久島の固有種で、標高1,300mから山頂部にかけて群生している。花が咲く5月下旬から6月上旬がこの縦走路の人気シーズンだそう。
無事に本ルートに戻り、あとは小屋を目指すのみ。
この辺りも、この先も、水がじゃぶじゃぶロードは続きます。登山靴は防水必須。足首くらいまでは浸かりそうになるので、ミドルカット以上が良いですね。
絶景稜線は続きますが、午後になりガスが湧き始める。
秘密の森へ
平石岩屋を過ぎて10分ほどで、森林限界上の世界は終了。あっという間の天空時間。名残惜しい。ここからは再び森へ。
枯れても、ボロボロになっても、そこに在り続ける命のかたち。そして芽吹く新しい命。巡る巡る。
ピンクテープはそこかしこにあるのだけど、道もちゃんとしているのだけど、一瞬気を抜くとコースアウトしそうになる密な森。縦走しないと辿り着けない奥の奥の秘密の森。
迷ったら元の場所へ戻り、よく周りを見渡す。木道や標識などが出てくると「良かった、合ってる~」と胸を撫で下ろしながら。
そして午後3時すぎ、本日のゴール、新高塚小屋、標高1,460mへ。
水は豊富にある。避難小屋なので、寝袋や食料は持参。小屋の前のベンチで、前日の淀川小屋から一緒でこの日の道中も何度も会ったお姉さまとポツポツおしゃべりしながら夕食。そして夜に。
この日も世界自然遺産の森に眠ります。宿泊者は9名。皆それぞれこの世の絶景に、奇跡に溶け込んだ世界遺産さんたち。
この日もネズミの気配は無く。小屋内が騒がしめであまり眠れませんでしたが、寒くて星空を見に行く気にもなれず。せっかく新月付近だったので素晴らしかったのだろうな。トイレに何度も起きたというおじさま、星空最高だった!と言っていたから。次回の課題は防寒対策。
世界自然遺産の山歩きを存分に、一生分くらい楽しんだ縦走2日目(旅は3日目)。翌日は曇り予報。果たしてどんな最高のフィナーレが待っているのか?!Day4へ続く⇒屋久島縦走【縄文杉、白谷雲水峡】巨樹と苔、命の森へ Day4 2024.4.10