全山縦走
“早朝の須磨浦公園をスタートして、宝塚までの総距離約56kmを1日で歩き切る「KOBE六甲全山縦走・半縦走大会」”
以前から六甲山は縦走ができるということを知っていて、いつか行ってみたいと思っていましたが、なかなかきっかけがなく。5月に佐渡で出会った兵庫の登山チームの方々に「六甲全山縦走大会」があると聞き、これは今こそ挑戦のタイミング!と思い、申し込みしました。
個人で行こうと思っていたときは、50kmなんてきっと1日じゃ無理だから2日間に分けるか、と思っていたけれど、大会は1日で歩き切る。でも完走率は80%を超えるとな。大会というサポートもついているし、私もいけるのではないか。それにこれからトレイルランニングでもっと長い距離を走ることを考えると、まずはこの距離を歩いて体感してみよう、という意気込みです。
友人を誘い、申し込み。地図を取り寄せたり、検索をしたりして情報収集。

山と街が近く、アクセスも良い六甲山系。初心者でも楽しめますが、多様なコースがあり、熟練者まで楽しめる山域だそう。
全縦走の概要
・総距離56kmではなく実際は45km程度?
・累積標高差3,000m(5合目から富士山の2倍、上高地から奥穂高岳の1.7倍)
・標準コースタイム14~15時間、制限時間は17時間(5:00~22:00、途中関門あり)
・コース定数84(椹島周回荒川三山・赤石岳が79、表銀座縦走が89)
最高地点は931mながら、普通なら2泊3日程度で歩くアルプス登山と同程度の強度。普通のハイカーの感覚からするとかなりの高負荷。
装備については
・トレッキングポールを持って行くか行かないか?
・トレッキングシューズにするかトレランシューズにするか?
アップダウンが激しいが、全て未舗装路ではなく住宅街など舗装路も多いとのことで、装備は様々らしい。いろいろ考えた結果、トレッキングポールを持ち、足元はトレッキングシューズに決めました。
ランニングなどのトレーニングを重ねつつ、ドキドキしながら当日を迎えました。11/10(日)
スタート
神戸に前泊し、始発でスタート地点の須磨裏公園へ。全縦走1,800人、半縦走500人が定員だったこの大会。大勢の人がこの始発電車(5:29着)に乗っていたけれど、スタートダッシュを切りたい人は電車ではなく車や徒歩でここまで来て5:00のスタートを目指すそう。
5:30、日の出前でまだ真っ暗な中、スタートです。

少し高度を上げたところで、日が昇る。




いくつか山頂標識のある山を過ぎますが、ピークを踏まずにトラバースしてしまう山も。私たちも流れに乗ってトラバースして進んで行くが、全山縦走というのにピークを踏まないのは何か残念だね、と友人と言葉を交わす。(しかし、ピークを踏む方を選んでいたら絶対にゴール不可、と後々気付く。)
まだ薄暗い登山道に大勢の人人人。守るルールはいくつかありますが、速さを競う大会ではないので「走ってはいけない」ため、なかなか追い抜くことはできません。
初出場なので勝手が分からず、1時間ほど歩いた高倉山が開けていたので朝ご飯でも食べようかと少しベンチで休憩。ここで休んではいけないということは、このすぐ後に思い知ることになる…。

渋滞とアルプス
一旦山道を抜けて住宅街を通り、次の栂尾山への登りに差し掛かったところで大渋滞発生。空を眺めて気を紛らわす。

栂尾山、横尾山を越え、須磨アルプスへ。馬の背と呼ばれるポイントの少し手前の鎖場まで、断続的に渋滞。わずか1km程度を抜けるのに1時間強。そしてまだ5kmも進んでいない。こうなることが分かっていたらあの時休憩しなかったなぁ(情報収集不足!)。

全山縦走のなかで一番の映えポイント(だと思う)。住宅街からほど近いこんな場所にこんなワイルドな山肌があるなんて、不思議でワクワクする景色。

下りに差し掛かり、渋滞で遅れた分を取り戻そうと懸命に歩く。道中には「六甲全山縦走路」の看板がいたるところにあり、とてもポピュラーな登山道なのだなぁと思う。

関門と赤鬼
再び住宅街を抜け、神社や鉄道の駅、ダムの近くなどを通り、最初の関門の菊水山へ。この山の登りでも渋滞発生。余裕だと思っていたのに、到着11:40、関門は12:15。渋滞なのでペースはゆっくりだが休んでいる感覚ではなく、だんだん焦る気持ちも湧いてきて、なかなかの疲労感。

縦走路自体はとても美しい場所があったり、展望があったり、変化があり面白いのだが、なにせ楽しんでいる余裕はほとんどなし。と言いつつ要所では写真を撮る。

12:45鍋蓋山展望所にてお昼休憩。ここでようやく座って食事をしていたら、運営の方からの声掛けが。「あと30分で赤鬼が来ますよー。」
赤鬼システム。赤鬼とはタイムキーパーで、これより遅れると関門に間に合いませんよ、という存在。なんと!無縁だと思っていた赤鬼に捕まるかもしれない!?

渋滞に素直にはまって進んでいるだけで周囲から遅れているわけではないのだが、すぐそこに赤鬼が。急いで食事を終え、出発。

遅れを取り戻そうと、下りや空いているところで早足になるので、下りの衝撃で足への負荷がだんだんと辛くなってくる。私はいつも足指にできる肉刺(まめ)がこの時もムクムクと育ち、痛みが出てきた。

痛みと葛藤
また渋滞にはまりながらも進んでいると、遂に次の掬星台関門で赤鬼に捕まる!到着15:10、関門15:30。


ここではホットレモンのサービスがあり、ありがたくいただく。手持ちの水筒にもモリモリに注いでくれました。

酸っぱさに元気をもらい、再び歩き出す。半縦走の人はここから全縦走と道が分かれ、新神戸へ。全縦走の人もここまでと決める方も、リタイヤ申告をしている人を多く目にしました。
ここからはほとんど赤鬼と一緒に歩く。というか追い越されている。つまりは最後尾。私たちの後ろにいた渋滞にはまっていた人たちはどこへ行ったのか?!

ここで弱気になる私たち。私は両足の肉刺がとんでもなく痛い。一歩踏むたびに激痛、特に下りの舗装路がキツイ。そして、ここ最近の運動量増加により左の足底にできていたガングリオン(ゼリー状の物質の詰まった腫瘤)が存在感を示してくる。神経に触っているのか、スパークするような痛み刺激が何度か。友人は足の攣りが来ている。そして全行程のまだ半分くらいしか来ていないという地獄。リタイヤが頭をよぎり、最後まで行くかどうか、という話し合いをしながら進む。
途中トイレに立ち寄っても、出発を促される。ゴールしたいならもう一歩も立ち止まることは許されない!
日の短い11月、暗くなるのがあっという間で、神戸の夜景が。途中でヘッドライト装着。

途中リタイヤするなら六甲ガーデンテラスまでに、それ以上は交通手段が無くなるし、そこからもまだ長く、痛みを押して歩くと長く後遺症になってしまうことがあるよ、と事前に送られてきた手引書にしっかり書いてあったし、そこでも勧告を受けるも、最終関門の一軒茶屋までは何とか行ってみようと、先へ。
覚悟と挑戦
緩やかな下り、ほとんど小走りのような速さで進み続ける。あんなに激痛だったのが、不思議と痛みが引いてきた。どうやら肉刺が潰れたようで、なんとか行けそう、という感覚に。ガングリオンは我慢だ。せっかく挑戦したからには達成したい!という欲求の強い私は、リタイヤの意志を翻し、行けるなら最後まで行きたいと。もちろん自信があるわけではない。
おそらくリタイヤするとほとんど思っていた友人、びっくりしつつも、一緒に挑戦しようと決めてくれた。
最終関門の一軒茶屋へ。到着17:50、関門18:00。ここからまだ残り15kmくらい。

ここから先は夜の部。遭難者が出ないようにということであろう、手首にバンドを巻かれる。反射板のようなものもザックにつける。

赤鬼と並走していたので、これから先のコース状況を聞いてみると、この先でも渋滞が発生するのだそう。この期に及んで?!
下りの鎖場があり、そこで少しの渋滞。そして下りばかりと思いきやここでもアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を下げていく。手元のガーミンを見ながら、早く高度下がれ、と思っていたが、標高500m前後をうろうろする時間の長いこと長いこと。

真っ暗な山道で、たまに前後の人が見えなくなると、途端に心細くなる。迷いようのない道なのだけれど、本当に大丈夫かなという気持ちが何度もよぎる。前の人のヘッドライトが見えてホッとする瞬間、人の存在ってありがたいなぁと思う。


ゴール
そして夜に雨かもとの予報通りポツポツと降り始め、傘が欲しくなるくらいになった頃にゴールの宝塚駅へ。到着21:00。歩き切りました。
賞状と記念品の小さな盾を受け取り、手首のバンドと反射板を返却。撮影スポットには行列ができていたので、雨だし、そそくさと駅に退散。
ゴールの瞬間よりも、この旅のゴールがかすかに見えてきて、最後まで挑戦するぞ!と決意したあの最終関門直前での気持ちの方が高揚感がありました。なんて不思議なのでしょう。

疲れ果て、途中でご飯を食べる気力も無く、帰り着いたホテル(ドーミーイン)で夜鳴きそばをおかわり。

そして温泉に浸かり、ベッドに倒れ込んで長い一日が終了。次の日はゆっくり起きて朝も温泉に浸かり、日中は大阪の万博記念公園にある国立民族学博物館を見学して、夕方の便で帰路へ着きました。

普通にハードすぎるイベントでしたが、リベンジの遺恨を残さずに済んで、私の達成欲求は満たされました。よくやった。さて、この後は一ヶ月後に30kmのトレラン大会が控えています。私は無事に出走&完走できたのか?!次回へ続く!


