禊ーMISOGIー
前回の宿泊登山から1ヶ月、すっかり山が恋しくて恋しくて仕方なくなった頃に、ずっと行きたいと思っていた七面山へ行ってきました。ここは修行の山。
現在通っているコーチングクラスで「私は優等生を卒業する!」と決めたので、禊がテーマ。生まれ変わって帰ってくる算段です。(日記はこちら⇒ちゃんとした私からの卒業|やりたくないを叶える|エッセンシャルコーチング日記)
◇ 旅の行程 ◇ 0 富士駅前 前泊 1 富士 ⇒(電車)⇒ 身延 ⇒(路線バス)⇒ 久遠寺 ⇒ (ロープウェイ) ⇒ 身延山 ⇒ 敬慎院 2 敬慎院 ⇒ 七面山 ⇒ 希望峰 ⇒ 八紘嶺 ⇒ 梅ヶ島温泉 ⇒ 安部の大滝往復
前日仕事を終え、電車で富士駅に移動し前泊。せっかくなので身延山に立ち寄ってから法華経の聖地、七面山に挑みます。山頂の少し下にある宿坊〈敬慎院〉に宿泊し、晩のお勤めに参加、絶景の富士山を眺める一日。12/3(日)
身延山は登山をしても良いのだけど、七面山の標高差1,200mに備え、体力と時間を温存しよう作戦で、今回は身延山ロープウェイを使うことに。
朝一番のロープウェイを目指して、富士駅から朝二番の電車に乗って身延に向かったところ、「鹿と衝突したため遅延しております」、がーん。朝三番のロープウェイになり、40分遅れでスタート。日没が早い時期なので、明るいうちに辿り着けるかな…?とドキドキ。
スタート地点の久遠寺三門に到着、9時過ぎ。履物が奉納されている。ここの仁王様が健脚の神だそう。急がねばという気持ちが強く、仁王様のお顔拝見するの忘れちゃった。焦っても良いことは何も無い。落ち着くのだ。
美しい紅葉を眺めながら歩くと、その先には有名な大階段、菩提梯(ぼだいてい)が。287段の階段、総距離は350m、獲得標高は100m。一段一段がとても大きく、腿上げしながら歩く感じでとんでもなくキツイ。迂回路の男坂女坂を選択も可。私は修行なのでもちろん階段を。
結局途中走ることになり、体力時間温存作戦は失敗に終わるも、もらうつもりの無かったロープウェイ乗車特典をもらいに行くなどが出来たので結果良かったということにしよう。(事前予約すると久遠寺クリアファイルとお経葩がもらえます)
たった7分の乗車で高低差763mを登ってしまうとな。禊だ修行だと言いながらずるしたような気分。そしてピッタリ7分後にはこの景色よ。
修行走
この日は〈修行走〉というトレランイベントが開催されており、おそらく私が出発した少し後に下から走り始めたランナーさんたちが既に山頂に。お寺が発表しているコースタイムは上り2時間半。ランナーさんたちおそらく40分くらい?速すぎ。
この先も途中何人ものランナーさんたちとすれ違う。TVで見たことがあるような面々も。キツイはずなのに私のような一般登山者にもちゃんと挨拶をしてくれる方もいて、応援したくなりました。私もいつか走れるようになるかな。
奥ノ院に参拝し、これから向かう七面山と、遠く南アルプスの景色を眺めます。
七面山に向けて歩き始める。途中には感井坊や十萬部寺などお寺に付属する建物がいくつかあり、山道ではなく、舗装路が続く。見事な杉並木も。
こんな崖のところによく道を作ったな!という驚愕ポイント。
目の前には七面山。
標高を下げながら歩くこと1時間半で、赤沢宿へ。身延山と七面山に参拝する客の宿場として栄えた場所。集落は重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。昔の面影を残す街並み。
精進の霊場
そこからさらに歩くこと30分、午後0時、七面山の表参道の羽衣へ。ここからが今日のメイン。白糸の滝とお萬の方像。全然予備知識無く訪問したのですが、七面山はもともと女人禁制だった山。女人成仏を説く法華経を守護とする七面山への登拝を望んだお萬の方(徳川家康の側室、水戸黄門の祖母)が、この滝で身を清め、女性で初めて登頂を果たしたそう。山ガールの大先輩ですね。
ここを元丁目(0)として、本日のゴールである敬慎院は五十丁目。頑張るぞ。
終始整備された道。丁目ごとに石灯籠とベンチがあり、どこでも休憩できる。
途中お茶など出来るポイントも。
一丁ずつの間隔はそれほどではないのですが、なんせ五十。五登ったら、10分の1来たな、とか、二十登ったら、あと5分の3、とか、何とか前向きになるカウントを取りながら。
何やら大きな門が見えてきた。四十六丁目、和光門。ここからは殺生禁止ですよ。
午後3時、もう若干の暗さが辺りに立ち込める。門をくぐり坂を登り切るとそこには鐘楼が。登詣した人が自由に撞いて良いそうなので、私もポーンとありがたく撞かせていただきました。
そしてさらに坂道を登り切ると、そこには大展望と随身門。四十九丁目。ここの広場から大展望が広がっているのですが、富士山に若干の雲が。微妙に風も強く、寒くなって来たので、ひとまず夕焼けに期待して、敬慎院へ。
神秘の聖地
午後3時すぎ、五十丁目、敬慎院に到着。修行中のお坊さんや、スタッフの方たちが扉を大きく開いて出迎えてくれます。かなり寒かったのですが、お部屋はストーブを付けて暖めておいて下さっていました。お風呂は4時頃から、日没4時半頃、夕食は5時、御開帳は6時半、夕勤は7時。
ここ敬慎院は身延山久遠寺に属している、日蓮宗の宿坊。朝夕のお勤めに参加します。
夕焼けの富士山を見に行くまでは散策。
七面大明神が竜の姿で現れたという伝説の池、一の池。池そのものが信仰対象だそう。
お布団に入れる湯たんぽが配給されました。これで良く眠れた。
午後4時過ぎ、夕焼けを求めて再び随身門へ。雲が晴れ、澄んだ空気の中、広がる大展望。寒すぎて10分くらいで撤退。
お風呂でさっと汗を流した後は、夕食。精進料理ですが、ご飯とお味噌汁は軽く4杯分あった。簡素な分、一つ一つをしっかり味わって食べようという気になり、噛みしめた。ごちそうさまでした。
ここなら悟りを開けるに違いない。(持参した本ね)
午後6時半、本堂で御開帳、そしてそのまま夕勤。キーンと冷えたお堂の中、響くお経と鐘の音、お線香の香り、木魚のリズム、太鼓の重低音。体にビシバシと響きます。この空間全てで浄化されていく。
せっかくなので御祈祷を申し込んでみました。お願い事は?と言われ、とっさに出てこなかった私。心身共に健康であること、世界平和、などなど、心に去来したものはあったけれども、私の真の願いは「悟ること」。例えどんなことが起ころうとも、それを受け入れていく私であること。どんな言葉なら読んでもらえますか?とお坊さんとやり取りをし、スマホで検索をしながら、これなら大丈夫かな、と選んだ言葉は
「安心立命(あんしんりつめい)」心を安らかにして身を天命にまかせ、どんなときにも動揺しないこと。
私の願いはあのお堂の中、あの空間に響き、私の身に染みて、そして彼方へと消え去りました。
私のことだからすぐに忘れて悩んだり落ち込んだりもするのだろうけど、それでもきっと大丈夫。
夕勤の後、お坊さんが建物の解説や、お堂の裏手にある納骨堂の案内などを希望者にしてくれる。本堂は建立から230年以上経っているのだそう。天井の七面大明神さまは最近掛け変えられたそうですが、200年以上見守ってくれていたから蔵にしまい込んでしまうのは忍びない、ということで、本堂に展示してあるのを教えてくれたり、お釈迦様のお骨が収められているという骨壺を見せてもらったり、過去の貴重な仏像などを解説してもらったり。信心深い方ではありませんが、大昔から大切にされてきたこと、有形無形の願いというものがそこにはあること。そして人々の願いはきっとこの先も変わらないのだな。と感じる場面でした。
ところで、お坊さんの袈裟の下は、厚着など禁止だそうです。超寒かったのに大変。夏は暑く冬は寒い。まぁ自然なことなのですけれども。まさに修行。
禊登山にふさわしい1日目が終了。2日目はいよいよ未知の倒木地帯へ。どんな景色が待っているのか?!Day2に続く⇒山梨【七面山・八紘嶺】御来光と倒木祭り Day2 2023.12.4