わたしのあきやすみ|山、人、そして自然と

あれは、とてもとても渋い、秋の日のことだった。

北アルプス断念の秋休み

澄んだ空気、山旅に最適な秋が来ました。5日間のお休みを取って今年は北アルプスの縦走山旅(読売新道、裏銀座、黒部五郎岳、雲ノ平)へ行く予定でしたが、お天気が思わしくなく泣く泣く断念…。私にとっての「山旅」はレースでも練習でもただのピークハントでもないので、晴れの景色をゆっくり堪能できないならば行く意味が激減。黒部五郎くんなんてもう振られるの何度目だろうか。

ということで秋休み5日間。天気予報とにらめっこして疲れた初日は、たっぷり昼寝をして夕方ランニング。2日目はマッサージ&パーソナルピラティスに行き、整えDay。

ハセツネ試走

3日目は2週間後に迫った日本山岳耐久レース「ハセツネカップ」の試走へ。市道山から西原峠のレース前半区間を走りました。

ゴールが見えてホッとする

朝は雨が降り、ひんやりした空気。平日だったのでトレイルランナーには誰も会わず、静かな山を一人で堪能。帰り際にはカモシカくんに出会いました。

カモシカくん

実はこの少し前に、夜間試走にも参加しました。レース後半の西原峠から武蔵五日市駅までの38kmを仲間と共に。

夜間試走、ありがとうございました!

ハセツネは他の一般的なトレイルランレースと趣が違なり、補給のエイドが少ない(食料なし、水少し)ことや、細かな分岐での案内がなく自分で地図を確認しながら走らなければいけないことなどから、山を走る(歩く)総合力が求められる。加えて距離70kmという長さで、私にしては最長距離。夜間試走で試走の必要性を痛感し、今回の休みを利用して前半も試走に。行っておいて本当に良かったと思いました。当日も頑張ります!

表丹沢ヒルパラ

4日目はトレランレースのコース整備のお手伝いに、表丹沢の山中へ。プロトレイルランナーの三浦裕一さん主催のレースで、2月に開催予定です。

雨が降る中、枝切りハサミを手に、竹や草を伐採していく。しかし、そこには大量のヒル(ヤマビル)!!!ヒルのパラダイス、通称ヒルパラ。

長袖長ズボンのレインウェアに長靴、そして忌避スプレーまでしていきましたが、奴らはそんなことはものともせず。一瞬にして這い上がってきて、気付けば手首や足首、首や胸元など何ヶ所もやられていました…。

お昼休憩で全身チェックしあいヒルを落とした後、午後の作業でもう一度ヒルパラの中に繰り出していくのが本当に憂鬱すぎて、このまま黙って帰ろうかと思ったほど。

そしてまさに帰ろうかという時に作業を頼まれ、意を決して再びヒルパラへ。もう一周コースを回り、帰ってくると私の長靴からは20匹以上のヒルが収穫されました。こわすぎる…!!!出血箇所多数、もう軽く事件です。

ヒル大収穫事件

普段、半袖短パンで山を走れることがどれほどありがたいか、身に沁みました。

人間がある程度快適に自然の中で過ごせるのは、人の手が入っているからこそ。もともとは山奥にひっそり生息していたヤマビルが人里にまで増えてきたのは、森林管理が行き届かず暗くじめじめした環境になったこと、野生動物が人里に下りてくるようになったことも背景にあるそう。

レースや整備活動を通して人が山に関わることは、自然との関係をもう一度築き直すきっかけになります。出走したりボランティアで参加をしたりして、貢献し応援していきたいですね。

2月のレースの時にはヒルは活動していないはずなので、選手の皆さまは残念ながらヒルに会えません。ヒル好きの皆さまはぜひ整備のお手伝いにいらしてくださいませ。

癒しと感謝

雨に打たれたこと、慣れない枝切りハサミで腕が筋肉痛になったこと、ヒルショック…で疲れ果て、5日目は休養。ものすごく久々に「癒されたい」という感覚が。普段やりたいこと好きなことしかしていないので、ほぼ癒しを必要としていないという発見。ありがたし。ちなみに私の癒しは、近所のグルテンフリーのケーキ屋さんの米粉シュークリームでした。美味しかったー。

泥まみれの長靴やレインウェアを洗っていると、蛇口をひねればきれいな水が出ることにもしみじみ感謝。たまには衝撃のイベントがあると良いですね。

そして、自然が好きと言いながら虫は大の苦手という矛盾の中に生きる山ガール。まぁ、それでも良いよね。疲れたので今日はもうこれ以上考えないでおこう。

元々は北アルプス縦走に行っていたはずの5日間。悪天候のお陰で五感に焼きつくスペシャルな体験ができ、山と人と自然の関わりを考えた濃密な「わたしのあきやすみ」でした。

この秋の体験は、すべてが宝物。

あー疲れた。笑

整備中の林道より