毎年行きたい
今年も行ってきました、下ノ廊下。同じところにはあまり行かない派の私ですが、ここはリピート確定場所。スリル×絶景紅葉×秘境温泉♨、行かない理由がどこにも見当たらない。昨年と同じ日付で行ってきました。年々紅葉が遅くなっているとのことで、小屋閉め最終日を狙う日程。と思っていたのに、今年は11/3(金)までやるとな。10/30(月)
昨年のブログはこちら
【下ノ廊下】Day1 2022.10.30
【阿曽原温泉小屋】Day1’ 2022.10.30
【水平歩道】Day2 2022.10.31
◇ 旅の行程 ◇ 0 新宿 ⇒(高速バス)⇒ 信濃大町 前泊 1 信濃大町 ⇒(路線バス)⇒ 扇沢 ⇒(電気バス)⇒ 黒部ダム ⇒ 下ノ廊下 ⇒ 阿曽原温泉小屋 2 阿曽原温泉小屋 ⇒ 水平歩道 ⇒ 欅平 ⇒(トロッコ列車)⇒ 宇奈月温泉
昨年に引き続き、今年もお天気はバッチリ。午前仕事をした後は、高速バスで信濃大町へ。温泉付きのゲストハウスに前泊します。そして朝6時、バスで扇沢へ出発。山々が美しい。今日も良い日だ。
この日は標高1,470mの黒部ダムを出発し、標高860mの阿曽原温泉小屋までのコースタイム7時間半の一日。山頂は目指さない山歩き。
道の感じは覚えていて、慎重に行けば大丈夫。と分かっているのに、やっぱりドキドキする。昨年は友人と二人、今回は一人。私が行く数日前にも滑落死亡事故が起きていた。気を引き締めて。朝7時半、電気バスに乗り黒部ダムへ。
いよいよ始まる…!
朝一番のこの橋が凍っていて怖かった。黒部ダムの観光放水部を下から眺められるこの場所。
錦秋の川面
この先も木板は凍っていて、早速しりもちをつく。昨年は初めてで、友人と写真を撮りまくって立ち止まりまくっていたので9時間以上掛かってしまい、小屋に着いたのは日が落ちた午後5時過ぎ。今年は早めに着いて温泉をゆっくり楽しむ予定。
終始ハイライトではあるのだけど、ゆっくり楽しむ場所としっかり歩く場所と緩急をつけて進んでいく。
紅葉のオレンジが川面に反射してオレンジの川になっている。
最初は川が近い。緩やかに流れる川と紅葉。ここだけ見ると「本当に暴れ川だったのかな?」と思う程。それもこれも、60年前の先人たちの功績。
午前9時、深い峡谷にも太陽の光が差し始め、輝く金色の世界になっていく。
緊張と感動の交差点
こういう木材の足場、岩の方が崩れているから作ってくれているもの。狭い足場では、壁に設置してくれている番線(針金の手すり)が命綱。こうして私たち一般登山者が道を闊歩出来るのも、誰かが整備してくれているお陰。写真では分からないけれど、この右側は崖で、落ちたらたぶん死ぬ。「黒部に怪我なし(怪我では済まない)」
遠くから見ると怖いけど、歩いてみるとそうでもない。足場がしっかり作られているから。本当にありがとうございます。
そして道は続く。
前日は阿曽原温泉小屋に泊まったであろう人たちとすれ違い出す。
振り返って見る世界。前回も今回も黒部ダム⇒欅平だったので、反対コースだったらこの景色を眺めながら歩くのだな。それもいいな。またいつか。
あちらに見えるは断崖絶壁よりもこわい梯子の芸術作品。私はこれ苦手。手と足が滑って落下しそう。ちょうどすれ違いが増える時と重なる場所でさらに怖さ倍増。下にも道があるのだけど、それを迂回するように作ってある。阿曽原のご主人に「あそこ下は通ってはダメなの?」と聞いてみたところ、足場に岩の割れ目が年々広がっている箇所があり、「死んでもいいなら通って良いよ」とのこと。「でもあなたの体重が乗ったところでハエが止まるようなものだけどねぇ」、たくさんの人が通ってはきっと事故につながるのだろう。そうなったら迷惑を掛けることになるしな。来年も素直に梯子に登ることにしよう。
午前11時、昨年より1時間も早く最初の休憩ポイント、別山出合へ。昨年は本当にゆっくり楽しんだんだなぁ。行動食を取り、小休憩してまた歩き出す。
見どころの一つ、白竜峡。水しぶきが上がり、川が竜のように見えるから?岩肌も白くすべすべとして見える。日は差し込まず、キリっとした冷たさを肌で感じる場所。お気に入りスポット。
見よこの深いV字を。紅葉を。美しい一瞬の奇跡を。谷底にどこまでも続く、溢れる幸せ。辛いことがあったらここを思い出そう。谷底だって最高に楽しい。谷底だから最高に幸せ。
水しぶき濡れスポット。昨年は無かったシャワーが出現しています。足元も濡れていて注意だし、上からの水も注意。レインウェアを着れば良いのだろうけど面倒、そのうち乾くだろう。傘を差すとかは無理なのでそのまま突っ込んでいく。
紅葉のトンネルが出現。綺麗だな。
絶景と紅葉の交差点
午後0時過ぎ、十字峡に到着。道をそれて展望台まで少し下って、十字を見に行きます。3つの川が合流するとても珍しいスポット。
ここで小休憩。ここから吊り橋がいくつか出てきます。そして川よりもだいぶ高い場所を歩き始める。
ここ昨年も「うわー!すごい良い景色!まさに断崖絶壁!」となったところ。今年もなりました。楽しすぎる。
だんだんと川よりも上に来ました。川は眼下遠くに。
半月峡、S字峡という見どころが連続する場所へ。足場は広くなく、崖の遥か上。とても危険だと分かっているのだけれど写真を撮らずにはいられない。
ダムの送電線のトンネルが見えてきました。大自然の中に現れる力強い人工物。黒部峡谷を切り開いた先人たちに思いを馳せる瞬間が度々訪れます。
下ってまた川の近くへ。午後2時、東谷吊橋。昨年より1時間半早く到着。
仙人谷ダムに近づいてきました。トンネルを歩く。
常にハイライト過ぎてなかなか進まないのは皆一緒のようで、こちらのグループの方々も各所で写真の手が止まらない様子でした。
このダムの施設内を通り抜けていきます。
ダムじゃなかったらどんな川の景色だったんだろう。とも思う。
このドアの先へ。ライトは付いているので普通に歩けます。
この先に寮があって、ここに従事する職員さんたちが寝泊まりしているのだけど。自然とダムしかない場所で、どんな生活をしているのだろう。皆山が好きってわけではないと思うのだけど。
ダムを抜け、再び登り道。昨年すごく長く辛く感じたので、時間を計測。結果10分ちょっとしか登っていなかった。
水平歩道が始まり、短いトンネルのある権現峠へ。このあたりで数日前滑落事故が起こっている。小屋まであと少しというところで疲れもピークになっていたのでしょうか。気を引き締めて歩きます。
厳しさと優しさの交差点
水平歩道から下りの道に差し掛かる。これを下れば本日のゴール。この下りも昨年はとても長く感じたのだけど、やっぱりそんなでもなかった(忘れちゃったけど15~20分くらいだったかな?)。見えてきました阿曽原温泉小屋。
昨年は午後5時過ぎになった到着も、今年は午後3時半。無事に辿り着きました。一年越しに拝見するご主人、元気そうで何より。登山者の安全を願うからこそ、優しさと厳しさを持ち接してくれています。いつもブログで重要な情報発信をしてくれていて、これを見ずに下ノ廊下に入ってはいけない!という程のもの。必ずチェックを。ビールと温泉でゆっくりしよう。
男女で時間入れ替え制の、脱衣所も何もない露天風呂。外で裸になる楽しいアクティビティはこちらです。
ご主人曰く、昨年よりも紅葉の進みは遅い様子。ただし、これからどんどん日が短くなるのと、落ち葉が増え足場が悪くなるので、普通の人は10月までを予定しよう。自信の無い人、体力に不安のある人は、自信と体力をつけてから行きましょう。
とても厳しい場所にもかかわらず、人々を魅了して止まない黒部峡谷。
本当は昨年もしっかりブログに書いたので、今年はさらっと…と思っていたのに、結局写真を見ながら思い返していたらすっかり魅了されて、今年もしっかりブログになるのでした。
1日目は大満足にて終了。2日目は果たして生きて帰れるのか?!Day2に続く⇒富山 黒部【水平歩道】紅葉と断崖絶壁 Day2 2023.10.31